脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の3つを合わせて「脳血管疾患」といいます。状態として、脳の血管が何らかの原因で細くなるか、つまってしまうことにより血流障害が生じてしまいます。滞った血管から血液を供給されている脳組織の酸素や栄養素が不足して、脳組織が壊死してしまうと脳梗塞、脳内の血管が破れると脳内出血、脳の表面を覆っている軟膜とその上のくも膜の間で出血するとくも膜下出血を発症してしまいます。これらをまとめて脳卒中といいます。
脳血管疾患の1つである脳梗塞は起こった原因によって、次の3種類に分類されています。
主に加齢や高血圧などが原因で、脳の深部にある抹消血管が詰まり、その結果直径が15mm以下の小さな脳梗塞ができた状態のことをいいます。多発することが多く、小さな脳梗塞は無症状なことも多いです。「ラクナ」とは「小さなくぼみ」と言う意味です。
心房細動が原因で起こることが多い脳梗塞です。心臓のなかにできた血栓が脳に流れてきて血管を詰まらせている状態です。心臓から流れて脳動脈の比較的太い部分に詰まると大きな脳梗塞となり、最も重症で後遺症も重度となるケースが多くなっています。
脳動脈や頸動脈などの太い血管の動脈硬化が原因で、その部位で血管が詰まってしまったり、血流が悪くなったり、またはそこにできた血栓がはがれて流れていき、さらに先端の脳の血管の一部に詰まってしまっています。
発症の割合としては、ラクナ梗塞が50~60%、心原性脳塞栓症が20~30%、アテローム血栓性脳梗塞が20%程度です。
脳血管疾患は、いわゆる脳卒中のことで、血管が詰まって起こる脳梗塞と、血管が破れて起こる脳出血、くも膜下出血の大きく分けて3つのタイプがあります。いずれの場合も脳がダメージを受けてしまい、たとえ命が助かっても後遺症が残ることが多い病気です。日本人の死因上位3位は、第1位が悪性新生物(ガン)、第2位が心疾患、第3位が老衰、続く第4位が、脳血管障害となっています。この順位だけ見ると脳血管障害の数が少ないと感じるかもしれませんが、それは大間違いです。死亡数では脳血管障害は減少していますが、医療技術の発達によりすぐに死に至るケースが減っただけであって、脳血管障害の患者数そのものは増え続けているのが現状です。発症したうちの9割ぐらいが死にいたっていないだけなのです。脳血管障害は、高齢者ほど発症しやすいため、超高齢化社会に突入した日本では、今後また上昇していくことが予想されています。
かつては、高塩分食などによる高血圧が原因の脳出血が多かったのですが、最近では欧米食化による糖尿病や脂質異常症の増加による脳梗塞が増えています。脳梗塞が発症しないような生活習慣を心がけることが大切です!
脳梗塞は壊死した脳の部分によって脳機能が異なるため、さまざまな症状が起こります。脳梗塞のほとんどは、突然の発作にはじまり、手足の片側に麻痺が残る、ろれつが回らなくなる、まっすぐ歩けなくなる、ぼんやりとするなどの症状が現れます。その症状によって、脳のどこに病巣ができているのかが分かります。病状が急速に進んで数分から数時間で脳の組織が壊死してしまいます。脳梗塞で身体が動かせなくなると、合併症も現れてきます。典型的な症状としては、半身不随や半身麻痺、しびれ、運動障害、感覚障害、言語障害、意識障害、昏睡などが起こります。また、脳梗塞の症状として、一過性虚血発作と呼ばれる前兆がある場合がありますので、この前触れを見逃さないようにすることが非常に重要です。
脳の血流が一時的(数分から24時間以内)に途絶えた状態で、脳梗塞とほぼ同じ症状がおきます。この前触れが起こる確率は3割程度です。脳梗塞と同じように血栓が脳の血管に詰まることにより発症するのですが、詰まっていた血栓などが、自然に溶けて、途絶えていた血流が再開するため、症状も短時間で治まるので、脳の細胞の損傷はほとんどないことが多いのです。そのため、TIAがおきたことをすぐに忘れてしまいがちなのですが、一過性虚血発作が有った場合、その10%が1年以内に、30%が5年以内に脳梗塞を発症すると言われています。また最近では、TIA発症後24~48時間の脳梗塞発症リスクが高いことも分かってきています。この、前触れに気付き、脳外科のある医療機関を受診して適切な処置をほどこすことが脳梗塞の発症を防ぐことにつながります。
もし、めまいや片側の手足がしびれる、力が入らなくなる、急にろれつが回らなくなる、言葉が出なくなる、片方の目が見えなくなるなどといった症状があった場合は脳梗塞の重要なサインなため、見逃さないように注意する必要があります。
脳梗塞の原因として動脈硬化があります。動脈硬化とは、脂質異常症や高血糖により血管内に余分なコレステロールや糖質が増えることで、血管の内側が傷つき、傷ついたところに酸化したコレステロールが入り込みます。入り込んだコレステロールが溜まって内腔が厚くなり、血液の流れが悪くなった状態のことを動脈硬化といいます。狭くなった内腔が破れ、血栓ができて壊死することで脳梗塞を引き起こしてしまいます。
脳梗塞の主な原因は、生活習慣となっています。危険因子として、高血圧、脂質異常症、糖尿病(動脈硬化の主な原因)、心房細動、喫煙習慣、飲酒、肥満、運動不足、加齢などが上げられます。
アルコールは、血圧を上昇させて出血傾向にさせるため、動脈硬化を進行させる原因となります。利尿作用があるため体内の水分量を減らしたり、血液を固まりやすい状態にしてしまうリスクもあります。
動物性脂肪やトランス脂肪酸は、コレステロール値を上昇させ、動脈硬化を引き起こすリスクとなります。特に肉類、菓子類、バター、マーガリンにこれらのものが多く含まれます。そのため、油脂類を選択する際には不飽和脂肪酸を選択するようにしましょう。
塩分の過剰摂取は、血液中の塩分濃度を高めてしまうため、それを薄めるために血液量が増えてしまう事で血圧が上昇します。
糖質の過剰摂取で高血糖状態が続くと、血管が損傷し動脈硬化のリスクとなります。特に清涼飲料水や菓子パンやスナック菓子などは血糖値が上昇しやすいため、食べ過ぎには注意が必要です。
脳梗塞を予防するには上記の危険因子を防ぐことがポイントとなります。
そのため、食事の改善など生活習慣の見直しが予防につながります。
主食・主菜・副菜をしっかりと揃えて、食事は抜かずに3食しっかりと食べましょう。食事を抜くと反動でドカ食いをしてしまい、血糖値が急上昇してしまったり、飢餓状態で食事をすると脂肪を溜め込みやすくなってしまうため食事は抜かないようにしましょう。
野菜を意識して取り入れる
野菜を意識的に摂取し、1日350g以上を目標にしましょう。野菜に含まれるカリウムにはナトリウムを排出してくれる働きがあるため、血圧を下げてくれます。また、食物繊維にも血圧を下げたり、血液中の脂質を改善してくれる働きがあります。
食塩摂取量に気を付ける
心筋梗塞は、高血圧が原因となるケースも多いため、食塩摂取量も注意しなければなりません。食塩の摂取目標量として一日男性で7.5g未満/日、女性で6.5g未満/日を目標にしましょう。対策として、濃い味付けや加工品はなるべく避け、酸味や香辛料で風味などを付けて塩分を控えるようにしましょう。
脂質の摂りすぎは控える
コレステロールの多い食事も注意が必要です。血中のLDLコレステロールが高くなると動脈硬化を引き起こし、脳梗塞の原因となります。血中のLDLコレステロールが増加する原因は、飽和脂肪酸が原因といわれています。動物性油脂は飽和脂肪酸を多く含むため控え、コレステロール値を下げてくれる効果のあるオリーブ油やゴマ油などの植物油、EPA,DHAを多く含む魚などの不飽和脂肪酸を摂取するようにしましょう。
水分補給をこまめにする
脳梗塞を引きおこす原因の一つに体内の水分不足が原因としてあります。特にラクナ梗塞は脱水症状との関係が深いといわれています。脱水状態になると血液中の水分が不足し、血液がドロドロの状態になり血栓ができやすくなってしまいます。そのため、季節を問わずこまめに水分補給することが大切となってきます。
アルコールやたばこも脳梗塞のリスクとなります。アルコールは、一日純アルコール量を20g/日に控えて、休肝日を設けるようにしましょう。たばこは禁煙するように努めましょう。1人の力では難しい場合は医療機関に受診することも重要です。
無理のない程度で継続的に行える有酸素運動をとり入れましょう。ウォーキングなどがおすすめで、一日30分程度取り入れてみましょう。有酸素運動は血液循環を改善し、中性脂肪を下げ、肥満や高血圧にも効果的です。また、運動不足の解消やストレスの軽減にも効果的です。ぜひ取り入れてみて下さい。
大腿部(太もも)の筋肉を使うウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を習慣にしましょう。毎日続けるのが理想ですが、3日あけると効果が低下しますから、少なくとも1日おきに運動するように心がけましょう。
脳梗塞を予防するには、血中コレステロールを低下させ血流をよくする栄養素を取ることが大切です。
代表的な栄養素は、DHA・EPA、タウリン、アリシン、食物繊維などです。また、納豆に含まれるナットウキナーゼは、血栓予防効果が高いので、日常的に食べましょう。
栄養素 | 作用 | 主な食材 |
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DHA・EPA | コレステロールや中性脂肪を減らす、動脈硬化・血栓を予防 | アジ、サバ、サンマ、イワシ、マグロ、ブリなど |
タウリン | コレステロール値を下げ、血圧を正常に保つ | イカ(特にスルメイカ)、カニ、タコ、カキ、アサリ、ホタテ貝など |
アリシン | 血行をよくする 血栓を予防する |
にんにく、玉ねぎ、しょうが、ねぎ、にら、らっきょうなど |
食物繊維 | 腸管からコレステロールが吸収されるのを防ぎ、体外に排出する | きのこ類、野菜類、穀類、海藻類、こんにゃくなど |
オレイン酸 | 血中のLDLを低下させる | オリーブ油、ごま油、菜種油など |
ナットウキナーゼ | 納豆から発見された酵素 血栓を溶かす |
納豆 |
いわしをつかった、かば焼をつくってみましょう。
いわしには、EPAやDHA、タウリンなどといった注目される栄養成分が豊富に含まれています。これらには、血液の流れをよくする働きや、血液をサラサラにする働き、善玉コレステロールを増やし悪玉コレステロールを減らす働き、中性脂肪を減らす働き、などがあります。さらに、豊富に含まれるビタミンEには、血管を若々しく保つ効果などもあります。
今回は、血液サラサラ効果のある、玉ねぎも入れた丼にしてみました!
管理栄養士・健康管理士からアドバイス
いわしの旬は8~10月です。いわしに含まれているEPAは、血液中のコレステロールや中性脂肪を下げ、血が固まるのを防ぐ力があります。そのほかに、DHAやタウリンも含まれていて、動脈硬化を予防するのにオススメの食べものです♪美味しい魚の選び方としてうろこがたくさんついていて、青く光っていて、身が張り、お腹が太っていて、目が黒く澄んでいるものを選びましょう!
材料(4人分) | 分量 |
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いわし | 8尾 |
片栗粉 | 適量 |
玉ねぎ | 中2個 |
(下味) 生姜絞り汁 | 小さじ1 |
(下味) 酒 | 大さじ1 |
(A) 醤油 | 大さじ3 |
(A) 酒 | 大さじ3 |
(A) みりん | 大さじ3 |
(A) 砂糖 | 大さじ1~3 |
お好みで万能ねぎか白髪ねぎ | 適量 |
ネギ | 適量 |
ご飯 | 150g |