代謝とは、私たちの体の中で行われる化学反応のことをいいます。私たちは、呼吸によって酸素を取り込み、食べた物から取り入れた栄養素を消化・吸収することで、活動するために必要なエネルギーや生命維持に必要な物質を生成しています。
エネルギー源となる栄養素には、「炭水化物(糖質)」「タンパク質」「脂質」の3つがあり、3大栄養素と呼ばれています。これらが体内で消化酵素によって分解され、それぞれブドウ糖、アミノ酸、グリセリン・脂肪酸になり、体内でエネルギーとして利用されます。
消化酵素 | 消化後 | 1g当たり作り出されるエネルギー | |
炭水化物(糖質) | アミラーゼ | ブドウ糖 | 4kcal |
タンパク質 | ペプシン | アミノ酸 | 4kcal |
脂質 | リパーゼ | グリセリン、脂肪酸 | 9kcal |
炭水化物(糖質)は、唾液に含まれるアミラーゼという消化酵素によってブドウ糖に分解されます。そして、小腸から吸収された後、肝臓に運ばれます。肝臓に運ばれたブドウ糖は、そのまま血液にのって各組識へ運ばれ、エネルギー源として利用されます。
すぐに利用されない場合は、肝臓や筋肉にグリコーゲンとして蓄えられ、エネルギーが不足した際に再びブドウ糖に変えられて、エネルギーの産生に使われます。ただし、グリコーゲンの貯蔵量には限界があり、余分なブドウ糖は中性脂肪となって肝臓や脂肪組織に貯蔵されます。そのため、炭水化物(糖質)を摂りすぎると、肝臓や脂肪組織に脂質がたまり、肥満や脂肪肝につながってしまいます。
なお、炭水化物(糖質)からエネルギーを作った後には、二酸化炭素と水が残ります。残った二酸化炭素は吐き出す息から排せつされ、水は尿や汗となって排せつされます。
タンパク質は、胃液に含まれるペプシンという消化酵素によってアミノ酸に分解され、小腸から吸収された後、肝臓に運ばれます。肝臓に運ばれたアミノ酸は、一部はタンパク質に合成され、その他のアミノ酸は血液にのって体の各組織に運ばれ、細胞を構成する成分や酵素、ホルモンなどに作り変えられます。
不要になったアミノ酸からは有害なアンモニアが生成されますが、肝臓で尿素に変えられ、腎臓を経て尿中に排せつされます。
脂質は、膵液に含まれるリパーゼという消化酵素によってグリセリンと脂肪酸に分解され、小腸で吸収されます。グリセリンと脂肪酸は、小腸で中性脂肪に再合成され、そこにタンパク質が結合して「カイロミクロン」というリポタンパク質(脂質とタンパク質の複合体)になってリンパ管に入ります。そして、胸管を通って静脈に入り、心臓を経て血液の流れに乗って全身に運ばれていき、細胞膜やホルモンの材料として使われたり、エネルギー源になったりします。
使われなかった脂質は、肝臓や脂肪細胞に蓄積されます。エネルギーが不足した際に、蓄積されていたグリコーゲンを使い切ると、次は蓄積されていた脂肪が分解され、エネルギー源として使われるようになります。
なお、炭水化物(糖質)と同様に、エネルギーをつくった後には二酸化炭素と水が残ります。残った二酸化炭素は吐き出す息から排せつされ、水は尿や汗となって排せつされます。
代謝で大きな役割を担っている臓器が肝臓です。エネルギー源となるグリコーゲンを貯えて必要に応じてエネルギーを生成するほか、体に必要なタンパク質の生成・分解、コレステロールの生成、アルコールや体に有害な物質の分解や解毒などの働きをしています。
いかがでしたか。私たちが食べた食事は、呼吸によって取り込まれた酸素も使いながら、消化酵素や肝臓などの働きによって様々な物質に変化させることでエネルギーを生み出しています。健康管理士受験対策講座では、食についての知識はもちろん、肝臓のはたらきなど体のしくみについて学ぶことができます。興味のある方は、ぜひ受講してみてください。