血液凝固のビタミン 「ビタミンK」

血液凝固のビタミン 「ビタミンK」

ビタミンKは脂溶性ビタミンの1つで、緑色野菜に多く含まれるビタミンK1(フィロキノン)のほか、腸内細菌によって合成されるビタミンK2 (メナキノン)があります。

 

ビタミンKの生理作用

血液を固める

血液を凝固させる成分(プロトロンビン)が肝臓で生成される際、生成を助ける補酵素として働いています。

骨を丈夫にする

骨に存在するタンパク質(オステオカルシン)を活性化し、カルシウムを骨に沈着させて骨の形成を促す働きがあります。
また、コラーゲンの生成を促進して骨質を改善するため、骨粗しょう症の治療薬としても使用されています。ビタミンDとともに、丈夫な骨づくりのために重要なビタミンです。

骨のビタミン「ビタミンD」

ビタミンKを多く含む食品

モロヘイヤ、あしたば、かぶの葉、納豆 など

ビタミンKを多く含む食品

1日の目安量(一定の栄養状態を維持するために十分な量)

18歳以上(男女) 150㎍

※日本人の食事摂取基準(2020年版)

上手な摂り方

  • 油と一緒に摂ることで吸収率アップ!

ビタミンKは脂溶性ビタミンのため、油と一緒に摂ることで吸収率がアップします。また、腸内細菌のような微生物によって合成されるため、発酵食品である納豆に特に多く含まれています。

  • 納豆は、「粒納豆」より「ひきわり納豆」を選ぶ!

「粒納豆」は大豆1粒1粒を発酵させているのに対して、「ひきわり納豆」は大豆の粒を砕いてから発酵させています。そのため、表面積が広くなり、納豆菌の付着量が増えることでビタミンKも多くなります。

取り過ぎると?

通常の食事では、摂り過ぎることはありません。サプリメント等での過剰摂取には注意しましょう。

ワーファリン(抗血液凝固剤)を服用している場合には注意!

ワーファリンはビタミンKの働きを抑制し、血液を固まりにくくすることで血栓ができるのを防いでいます。そのため、ビタミンKを摂取すると互いに働きを打ち消してしまい、働きが弱まってしまいます。

不足すると?

腸内細菌によっても合成されるため、通常の食生活では欠乏症は起こりにくいと考えられていますが、不足した場合には下記の症状が現れることもあります。

  • 出血が止まりにくくなる
  • 骨粗しょう症 など
抗生物質を長期間服用している場合は注意!

抗生物質には、「細菌を殺す」という特徴があります。そのため、長期間服用することで腸内細菌が少なくなったり、バランスが崩れたりして、ビタミンKの量が少なくなってしまいます。

肝疾患がある場合

肝臓は、脂質の吸収に欠かせない胆汁の分泌を行っています。肝疾患により胆汁分泌が少なくなると、ビタミンKをうまく吸収できなくなってしまいます。

腸内細菌が未発達な新生児

生まれてすぐの新生児は腸内細菌叢が未発達で、ビタミンKを十分に合成することができません。また、哺乳量にも個人差があり、母乳からのビタミン摂取量が不足すると「新生児ビタミンK欠乏性出血症」を引き起こす場合があります。そのため、生後すぐの新生児にはビタミンKのシロップ投与が行われています。

 

いかがでしたか。ビタミンKは油と一緒に摂取したり腸内環境を整えて腸内細菌の働きを促したりすることでビタミンK不足を防ぐことができます。

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著者アイコン著者紹介

特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
全国各地で様々な対象者の方向けの講演会を行ったり、執筆活動を行うなど精力的に活躍する当協会の健康管理士、管理栄養士が担当しております。
それぞれ得意の分野を活かし、今知りたい「食や健康」をお届け!
毎月の食Doのテーマや、食Do執筆の裏側を公開する「裏食Do!」(アメブロ)Instagramなどもぜひお楽しみに!!
監修:日本成人病予防協会 会長 医学博士 片野 善夫          

       
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