食物繊維とは、「人の消化酵素で消化できない成分」のことをいいます。食物繊維は、単糖が結合した多糖類の一種ですが、消化されないためエネルギーにはなりません。しかし、体の中で有益な働きをするため「第6の栄養素」と呼ばれることもあります。
食物繊維には、水に溶けない「不溶性食物繊維」と水に溶ける「水溶性食物繊維」があります。
不溶性食物繊維 | セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサン |
水溶性食物繊維 | ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、フコイダン、マルチトール、コンドロイチン、イヌリン |
不溶性食物繊維は、水に溶けにくいため、水分を吸収して便の容積を増やします。便量が増えることで、大腸が刺激され排便がうながされます。また、有害物質を吸着させて体外へ排出する働きもあります。
不溶性食物繊維は、噛み応えのあるものが多く、よく噛んで食べることで満腹中枢が刺激され、食べ過ぎ防止にもつながります。
水溶性食物繊維、水に溶けるとゼリー状になります。ゼリー状になることで、小腸での栄養素の吸収が緩やかになり、血糖値の上昇を和らげるほか、脂質、ナトリウムを吸着し、体外へ排出する働きがあります。そのため、糖尿病や脂質異常症、高血圧などの生活習慣病の予防や改善につながると考えられています。
水溶性食物繊維は、腸内細菌により発酵を受け、ビフィズス菌などの善玉菌を増やし、ウェルシュ菌などの悪玉菌を減少させることで腸内環境を整えます。
穀類、いも、大豆、野菜、キノコ、海藻、こんにゃく
<食事摂取基準> 1日の目標量
(生活習慣病を予防するために、現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量)
男性 | 女性 | |
18~64歳 | 21g | 18g |
日本人は不足傾向にあり、通常の食生活では、摂りすぎることはありません。サプリメント等で過剰に摂取すると、腸へ負担がかかり便が緩くなったり、ミネラル不足を招いたりする恐れがあります。
腸内環境が悪化することで便秘になりやすく、その結果大腸がんのリスクが高まります。また、糖質や脂質、ナトリウムの排出が少なくなることで、生活習慣病のリスクも高まります。
食物繊維は、種類によって生理作用が異なります。そのため、特定の食品ではなく、いろいろな種類の食物繊維を摂ることが大切です
食物繊維は、エネルギーとはなりませんが、腸内環境を整えるために欠かせない成分です。腸内では、体内の免疫に携わっており、腸内環境が乱れることで、体に様々な影響を与えます。健康管理士受験対策講座では、食物繊維の働きと腸内環境、免疫との関係についても学ぶことが出来ます。ぜひ勉強してみてください。