成人期とは、青年期・壮年期・中年期の総称です。青年期(18~29歳)は、身体発達がほぼ完了し、内分泌などの機能が整い、生殖可能な体に変化する時期になります。さらに精神的には、自分自身の社会的な役割や責任を自覚する時期です。未成年の喫煙や飲酒を防止することはもちろん、20歳以降の喫煙習慣や多量飲酒を控えることも大切です。
壮年期(30~49歳)は、社会的にも充実した時期です。働き盛りともいえるが過労やストレスが重なる時期です。
中年期(50~64歳)は、体の機能に老化がみられるようになり、視力の衰えなどが顕著になるほか、50歳前後の女性は、更年期障害に悩む時期でもあります。また、定年退職など社会的に大きく変動する時期で、生活習慣の見直しが必要です。
成人期の目標は、健康の維持と増進を図ることや生活習慣病を予防することが大切です。日本人の平均寿命が伸びたとはいえ、成人期からの罹患率や生活習慣病は依然増加しています。これは今までの食習慣が深く関係しており、また高齢期に移行する疾病などは、この時期の食生活が大きく影響しています。高齢期も健康的に過ごすためには、この時期に生活習慣病を予防し、労働の質と量、環境などを十分に配慮した栄養管理が必要です。
夜遅く食事をすることや過度の飲酒などの食習慣の乱れは、肥満やメタボリックシンドロームにつながります。また、基礎代謝量は加齢とともに低下するため、青年期後半以降になっても20代までの食生活と同じ内容であると、エネルギー量の過剰摂取となります。
肥満やメタボリックシンドロームは食べ過ぎや運動不足など、悪い生活習慣の積み重ねが原因となって起こるため、生活習慣を見直すことによって予防・改善が期待できます。
成人期において、1日の食事の中で欠食が最も多いのは朝食である。遅い時刻まで働いていると夕食の時刻が遅くなり、就寝時刻も遅くなります。そのため、翌朝に疲れが残り、しっかり朝食が食べられなかったり、欠食しがちになってしまったりすることも多いです。朝食は1日の原動力となり、働き盛りの成人にとって朝食の欠食は重大な問題です。欠食は生活のリズムを乱し、栄養素の摂取不足から貧血をも招き、好ましい状態ではなくなります。
これまでの生活に定着していることも多いため、改善には時間がかかるかもしれませんが、少しずつ食べるように習慣を付け、食生活を改善していく必要があるでしょう。
毎日の昼食に外食を利用する人が多く、また、仕事の都合などで夕食を外食で済ませる機会が多いのが、この時期の特徴です。
選ぶ料理によって栄養素バランスは大きく異なるため、何を選ぶかが重要です。また、外食の場合、炭水化物(糖質)や脂質に偏りやすく、食塩の取り過ぎになりやすくなります。外食の際には、野菜や乳製品、果物などを積極的に取るように心掛けましょう。
アルコールを摂取すると、食欲が増して食事の適量を守れず、暴飲暴食を繰り返しやすくなります。また、エネルギーの高いおつまみばかり食べることでエネルギーの取り過ぎになるため、肝臓や膵臓などの消化器官や循環器官に負担をかけてしまいます。
お酒は、適量を守って摂取することが大切です。
また、肝臓に負担をかけないためにも、食べながら飲むことが大切です。おつまみは、良質のタンパク質がとれる主菜やビタミン、ミネラルが豊富なものを選ぶようにしましょう。