秋と言えば「実りの秋」。そして「食欲の秋」…。
たいていの女性が大好きなスイーツに使われる「栗」も9月~10月頃の秋が旬の時期となります。
今回は、意外と知らない「栗」について調べてみました。
北海道の南側から九州まで、幅広く日本列島で栽培されている「栗」ですが、ブナ科クリ属の樹木で、日本にも昔から自生していた木です。
ヨーロッパや中国の栗の木とはまた違う日本の栗の木ですが、1900年代中盤くらいからさまざまな品種とのかけ合わせが研究され、現在のふっくらとした大きな実がとれる品種ができるようになりました。
でんぷんが主成分で、食物繊維やビタミンC、カリウム、葉酸、ビタミンB1などが含まれています。
食べられている部分は種にあたる部分ですので、ナッツ類に分類をされますが、他のナッツ類に比べて、脂質がほとんどありません。
渋皮には、ポリフェノールの一種であるタンニンが含まれ、抗酸化作用が期待できます。
「自家不結実性」を持つ栗の木は、同じ品種の受粉では実がならないという特性を持っています。
栗の実を実らせるためには、違う品種の木を近くに植えなくてはなりません。
また、オスとメスの花があり、メスの花が受粉することで実になるのですが、このメスの花というのが、なんと一枝にひとつしかないそう。
風や虫によって自然に受粉をしますが、美味しい実がなるには、意外と大変なようです。
紀元前には人の手によってアフリカ大陸に渡り、さらに15世紀頃までには中南米にもたらされたと言われています。
野山に自生している山栗を品種改良し、今では収穫量の多さや、実の大きさ、美味しさを追求した品種が多様になりました。
中でも、生産量全国1位を誇る「筑波」という品種をはじめとした、「丹沢」・「利平」・「ぽろたん」という品種をご紹介したいと思います。
「岸根(がんね)」と「芳養玉(はやたま)」という品種を掛け合わせて作られました。
少し頭がとがった形をしています。淡い黄色の実で、香りが強く、甘みもある栗です。
一本あたりの収穫量が多く、品質も安定していることから、国内で広く栽培されている人気の品種です。
熊本と茨城が主な産地となっています。
「乙宗(おとむね)」と「大正早生(たいしょうわせ)」筑波と同じ頃に作られた品種です。
早生栗の代表なので、早ければ8月末頃から収穫が始まり、シーズンの先陣を切ってスーパーなどの店頭に並びます。
比較的大粒の栗ですが、実が割れやすいという特徴もあります。
粘り気は少なく、ホクホクとした食感が味わえますが、香りや甘みは筑波や利平に比べるとやや控えめな印象です。
こちらも東北地方から九州まで幅広く栽培されており、熊本と茨城が主な産地となっています。
日本栗と中国栗を掛け合わせてできた品種です。
生み出した人の屋号から名づけられたとされています。
丸くふっくらとした形が特徴で、とても固い鬼皮(外側の皮)を持っています。
食感も良く、甘みも強いバランスのとれた品種で、茹で栗にしても渋皮煮にしても美味しくいただけるそう。
他の栗に比べ、栽培が少し難しいようです。
主に埼玉や熊本で栽培されていますが、東京でもこの利平栗を栽培する栗農家さんは多いようです。
なんだかとてもかわいい名前のこの栗は、日本栗だけを掛け合わせて作られ、2007年に品種登録された比較的新しく仲間入りした品種です。
栗を食べる上で避けては通れない渋皮をむく煩わしさを改善したのがこの「ぽろたん」です。
一粒が大きく、電子レンジで熱を加えると渋皮がキレイにポロっとむけるのが特徴で、ここから名前が付けられたようです。
甘みは薄い品種ですが、氷温貯蔵の過程を経ることで、甘みがなんと2倍になるそう。
ですので、9月に一旦収穫してから氷温貯蔵をしたのちの出荷となり、ぽろたんを食することができるようになるのは、10月頃となります。
まだ苗木の流通量も少ないため、生産量が少なく値段も少し高いようです。
主な産地は熊本と埼玉、茨城で、熊本はぽろたんの生産量のおよそ三分の一を占めるほど栽培が盛んなようです。
以上、栗の魅力にについてご紹介しました。
モンブランや栗饅頭に栗きんとん、そして栗羊羹など、栗のおいしいお菓子がたくさんあります。
秋になると旬の味覚を味わいたい欲求に駆られ、ついつい散財してしまいます…。
皮をむくのが面倒ではありますが、栗本来の味を味わうには、生栗を買ってお家で茹でたり蒸したりしていただくのが、一番良い方法のようです。
今年はご家庭で調理してみてはいかがですか?