前回の記事【みんな同じ木からつくられている?!~奥深いお茶の世界①~】では、多くの皆さんが毎日のように飲んでいるお茶には、緑茶・紅茶・ウーロン茶など色々な種類があり、その違いは、お茶の葉の種類の違いではなく、製造方法、特に発酵によって違いが生まれること、大きく分けて4つの分類があることを紹介しました。
今回はお茶の発酵について、発酵度の違いによる4種類のお茶の特徴をご紹介します。
お茶の種類は、生の茶葉を発酵させるかどうか、発酵させる場合はどこまで発酵させるかの違いにより生まれ、大きく4つに分類されます。
一般的な意味の発酵とは、有機物質が微生物によって分解されることですが、お茶の発酵は、茶葉の中の酵素の働きによって、葉中のカテキン類が酸化することを意味しています。
茶葉を揉むのは、茶葉に含まれる酸化酵素を活発にさせて、より発酵を促すためなんですね。
それぞれの過程で発酵が進むことにより、茶葉内の成分が酸化し、異なった特色が生まれます。
例えば、
などの変化が表れます。
発酵の度合いにより、①不発酵茶、②反発酵茶、③発酵茶、④後発酵茶 の4種類に分類されています。
それぞれのお茶の特徴について、ご説明します。
茶葉をほとんど発酵させないお茶のことです。
不発酵茶は、茶葉のタンニンを可能な限り発酵させないため、茶葉を摘んだ後に、すぐに蒸す、炒る、煮るなどを行い、酸化酵素の働きを止めて、製造します。
お茶を摘んだ後にすぐ発酵を止めるので、茶葉が美しい緑色を保つのが特徴です。
さわやかな香りがして、黄金色に近い水色のお茶が上質とされています。
緑茶、いわゆる日本茶がそれにあたります。
玉露、抹茶、かぶせ茶、煎茶、玉緑茶、番茶、ほうじ茶などがあります。
不発酵茶について早く知りたい方は次の記事もどうぞ
茶葉が発酵する途中の段階で熱を加え、発酵を途中で止めたお茶です。
半発酵茶は、生茶葉を太陽光で、ある程度まで萎(しお)れさせ揺らすことで酸化させます。
ちょうどいい発酵状態の時に釜で炒ることで、酸化酵素の活性化を止めて製造します。
最大の特徴は、優雅な香りです。
色も発酵の状態で異なりますが、発酵部分の褐色と不発酵部分の緑色がまじりあう事で、青っぽく見えることがあるので中国では青茶と呼ばれています。
酸化の度合いは、不発酵茶と発酵茶の間になるので、実にさまざまです。
日本でもおなじみのウーロン茶が代表的なお茶です。
主な産地は、中国の福建省、広東省、台湾の台北や南投県周辺です。
半発酵茶についてもっと知りたい方はこちらの記事もどうぞ
茶葉をしっかりと発酵させたお茶ですが、最近では酸化を抑えたお茶も出回っています。
一般的な発酵茶は、摘んでから室内で萎れさせた茶葉をよく揉み、さらに高温多湿の環境で酸化酵素を活性化させます。
渋みのある深い味わいと芳醇な香りが特徴です。
発酵によって、鮮やかな赤、オレンジ、ルージュと言った赤褐色などになります。
代表的な発酵茶は紅茶です。
世界三大紅茶は、インドのダージリン、スリランカのウバ、中国のキームーンです。
この他にも、インドネシア、ケニア、タンザニアでも多くつくられています。
意外に思われるかもしれませんが、世界で一番飲まれているお茶が紅茶で、その量は6割を超えているそうです。
他のお茶と発酵方法が異なり、微生物などで発酵させるお茶です。
後発酵茶は、①カビだけの発酵、②乳酸菌だけの発酵、③カビと乳酸菌の二段階発酵の3種類に分けられます。
実は、一般的な意味での発酵は後発酵茶だけという事になります。
個性的な香りと風味が特徴です。
発酵の過程で他のお茶にはない成分が含まれることから、ダイエットや健康に効果があると言われていて、特に女性には人気です。
一番有名なのは、プーアル茶です。
日本でもいくつか後発酵茶がつくられており、富山のバタバタ茶、徳島の阿波番茶、高知の碁石茶などが有名です。
以上、今回はお茶の発酵とは発酵の度合いによって異なる4種類のお茶と各々の特徴についてまとめました。
次回は、それぞれのお茶について深掘りしていく予定です。
緑茶の記事はこちら⇒不発酵茶(緑茶)の種類と特徴 ~奥深いお茶の世界③~
烏龍(ウーロン)茶の記事はこちら⇒半発酵茶(烏龍茶)の種類と特徴~奥深いお茶の世界④~