ほとんどの皆さんが毎日飲んでいるお茶には、緑茶・紅茶・ウーロン茶など色々な種類があります。それぞれのお茶は、色だけでなく味や香りも異なるため、恐らくお茶の種類ごとにそれぞれのお茶の葉が存在すると思っている方が多いと思います。
でも実はこれらの原料となるお茶の木が、もとは全て同じという事はご存じですか?
なぜ同じ種類の木で、これだけ違ったお茶ができあがるのか、とても不思議ですよね。
今回はその謎を解決するために、まずは、お茶の原料であるチャノキのこと、お茶のつくり方、製造方法によるお茶の分類などについてご紹介いたします。
お茶の製造方法の違いを説明する前に、お茶の木のことをもう少し詳しく説明しておきましょう。
大まかに分けると、お茶の原料となるお茶の葉は、中国がはじまりで、同じ木からできているそうです。
ツバキ科ツバキ属の常緑樹で、学名は「Camellia sinensis(カメリアシネンシス)」で、日本では「チャノキ(茶の木)」と呼ばれています。
チャノキはツバキ科なだけあって、葉、花、実などがツバキによく似ているのが特徴です。
チャノキは葉の大きさ、木の高さなどの特徴の違いによって、大きく中国種とアッサム種の2つに分類されています。
中国種は、主に日本や中国で栽培されており、アッサム種は、主にインドやスリランカなどで栽培されています。
2種の違いを簡単に表にまとめておきます。
中国種(小葉種) | アッサム種(大葉種) | |
---|---|---|
主な栽培地域 | 日本、中国などの温帯地域 | インド、スリランカ、インドネシアなどの亜熱帯・熱帯地域 |
木の特徴 | 灌木(低木)、耐寒性が強い | 高木、耐寒性が弱く発酵しやすい |
葉の特徴 | 葉が小さい 幅:3~4cm、長さ:6~9cm |
葉が大きい 幅:4~5cm、長さ:12~15cm |
成分の特徴 | アミノ酸 多い、カテキン 少ない | アミノ酸 少ない、カテキン 多い |
主なお茶の種類 | 緑茶、ウーロン茶 | 紅茶、プーアル茶 |
以上のような特徴と違いがありますので、確認しておきましょう。
この他にもお茶と呼ばれているもので、チャノキが原料ではないお茶もいくつもあります。
身近なものでいえば、麦茶(大麦を原料)や、よく耳にするルイボスティー(ルイボスの葉を原料)、杜仲茶(杜仲の葉を原料)などです。
これは、「茶」という言葉自体が、飲み物全体を指していることに起因しています。これらのお茶については、いずれ紹介する予定です。
製造工程によりお茶の種類が変わるという事なので、まずはお茶をつくる工程を簡単に説明しておきましょう。
お茶の製造工程は、大きく分けて3つあります。
原料となる生葉を収穫することを「摘み」や「摘採(てきさい)」と言います。
手摘みと機械摘みがありますが、機械(摘採機)の性能がよくなってきているので、味の違いが少なくなってきているようです。
摘採した生葉を放置すると、ただちに発酵が始まってしまうため、つくるお茶の種類により、それぞれの工程がかなり異なってきます。
摘採したお茶の葉をねじったり、丸めたりすることにより葉の細胞を壊し水分を飛ばして、お茶を入れたときにお茶の成分が出やすくするための工程です。
①と同じく手揉みではなく、機械で行うことが多くなっているようです。
複数の段階に分けてだんだんとよりをかけて揉むのが一般的です。
お茶を保存できるようにするために、「乾かす」ことによって、お茶の水分量を一定量以下にします。
「乾かす」工程は、どんなお茶でも基本的には最終段階で必ず行われますが、揉む過程などに複数回に分けて乾燥させることも多いようです。
上記の3つの工程、「摘み」「揉み」「乾かす」の途中で別の作業を行ったり、少し順序を変えたりすることにより、出来上がるお茶の種類が異なってきます。
簡単に言うと、製造工程で生の茶葉を発酵させるかさせないか、発酵させる場合はどこまで発酵させるかの違いによりこれらの違いが生まれるのです。
お茶は発酵の違いで、大きく下記の4つに分類されます。
いかがでしたか?
同じチャノキからできているのにお茶の製造法の違いで、様々な種類のお茶ができるという事がわかったと思います。
次回からは、それぞれの違いや、お茶の特徴などを説明していこうと思います。