現代で私たちが慣れ親しんでいる野菜は、元をたどれば海外から入ってきたものも少なくありません。
トマトやトウモロコシは海外が原産だとご存知の方もいらっしゃると思いますが、実は日本食ではおなじみの大根、にんじん、ナスも実は日本原産ではなく、海外から渡ってきた野菜だったりします。
今回は、海外産でもさらに珍しい野菜、「アイスプラント」、「グラパラリーフ」、「ストロベリートマト」、「ロマネスコ」、「A菜」についてご紹介します。
名前は知らなくても、見たことある野菜があるかも?
さわるとひんやりとしそうな名前ですが、葉の表面に水滴のような透明の粒がたくさんあって、それが氷のように見えることからこのように呼ばれています。塩の耐性がとても高く、なんと海水と同じ塩分濃度の水でも生育できるとか。
シャキシャキした食感があり、生のまま食べるとうっすら塩味を感じる不思議な野菜です。
ビタミン様物質であるイノシトールが含まれ、血糖値低下作用、抗酸化作用、抗老化効果が期待できます。
他にもミネラル、βカロテンも豊富に含まれています。
葉や茎がみずみずしく、キズや変色がないものを選びましょう。
食感が落ちるのをふせぐため、買ったあとは4~5日以内に食べるようにしましょう。
食べ方は生のままサラダにしたり、さっと茹でたり、マリネにしてもおいしく食べることができます。
サラダとして食べる場合、葉っぱ自体にうっすら塩味があるため、ドレッシング等の塩分を控えめにできますよ。
一目見てこれを食べものだとわかる人はあまりいないのではないでしょうか。分類上はサボテンの仲間で、食べてみるとリンゴのような爽やかな味を楽しめます。
グラパラリーフには、カルシウムとマグネシウムが含まれており、グラパラリーフ4枚で牛乳100ccと同程度のカルシウムがとれます。また、繁殖力が非常に強いのも特徴で、パックに詰めて売り場に並べられる中でも新芽が伸びている事があり、さらには葉っぱをそのまま地面に置くだけでも芽と根を伸ばし始めるのだとか。
購入後は、成長を止めるために低温で保存するようにしましょう。
食べ方については、洗って生のままはもちろん、他の野菜や果物と一緒にスムージーにしたり、肉と一緒に食べたり、その他にはなんと溶かしたチョコレートをかけて、チョコバナナのような食べ方も。
副菜からメインディッシュの添え物、デザートとたくさんのアレンジができる面白い野菜です。
「トマト」と名前はついていますが、実は食用のほおずきになります。日本ではあまり食べる習慣はありませんが、ヨーロッパでは日常的に利用される、ポピュラーな食材になります。名前のとおり、ベリー類に近い酸っぱさがあり、ビタミンA、鉄分、ビタミン様物質であるイノシトールが豊富に含まれています。
実の表面は傷つきやすいため、ガクがついたままのものを選ぶようにしましょう。また、実の表面に傷が無く、オレンジ色に熟したものを選んでください。
購入後はガクがついたまま、キッチンペーパーなどでくるんで、さらにビニール袋などに入れて冷蔵庫にいれて保存してください。
ストロベリートマトは、ジャムやケーキといったスイーツの材料や、生のままサラダに入れたり、肉料理の付け合わせなど多岐にわたる調理方法が楽しめます。ただ、加熱しすぎると香りが飛んでしまうので、火を通すときは短時間で行うようにしましょう。
円錐状のつぼみがいくつも並ぶこの野菜は、一見すると「これ、作り物じゃないの?」と思ってしまうほど、幾何学的で不思議な形をしています。分類としてはカリフラワーの一種で、味はブロッコリーに近いそうです。栄養素はカリフラワーとほぼ同じで、ビタミンCやカリウム、食物繊維が豊富な野菜です。
ちなみにこの特徴的な形は「フラクタル構造」と呼ばれており、この構造の基となっているらせんを数えると「フィボナッチ数」が見えてくるとのことですが…。説明がかなり難しいのでここでは省きますが、詳しく知りたい方は調べてみるといいかもしれません。ちなみに、ロマネスコがこの「フラクタル構造」になるメカニズムは10年以上研究されており、つい最近の2021年になってから解明されたとか。
ロマネスコの話から数学の話になってしまう、なんとも不思議な野菜です。
ロマネスコを選ぶときは、全体的にきれいな緑色をしていて、変色していたり、傷があるものをさけて選びましょう。緑黄色野菜と同様、水溶性の栄養素が多いので、お湯で茹でると栄養素が溶け出してしまいます。そのため、蒸し調理ですと栄養素の流出がおさえられます。
ブロッコリーやカリフラワーと同じように茹でてマヨネーズをつけたり、お肉と一緒に炒めて食べるのがポピュラーです。
カタカナで「エーナ」ではなく、アルファベットで「A菜」です。
いったいどこの国の野菜なのか見当もつかない名前ですが、台湾や中国で作られている、「油麦菜(ゆばくさい)」という球状にならないレタスの一種で、台湾では俗称として「A菜」と呼ばれています。
レタスのようにシャキシャキした食感と、ほんのりとした苦みが特徴の野菜です。
なぜ「A」なのかというと、諸説あるようで、葉の断面がAに似ているという説、逆さまにもったらアルファベットのAに見えるという説…色々あるようです。
ちなみに、B菜、C菜といった野菜はありません!
葉が全体的にみずみずしく、きれいな黄緑色をしているものが新鮮なA菜です。しおれていたり、くすんだ色のものはさけましょう。
サラダにして生で食べるのもおいしいですが、炒め物にして食べるのがおすすめです。塩炒めや、ソース炒め、いろんな味付けにもピッタリ合いますよ。
これまであまりお店では見かけることのない野菜をご紹介してきました。
異国の野菜を食べて、その地の人々に思いを馳せるのもたまにはいいかもしれません。
意外にも、家庭菜園用の苗などを売っている野菜も多いので、タイミングが合えば自分で育てて食べてみるのもいいかもしれませんね。