コーヒーや紅茶、エナジードリンクなどに含まれているカフェイン。
覚醒作用があるので眠気覚ましに飲む人が多いですが、カフェインとは一体どんな成分なのでしょうか。
カフェインは、アルカロイドという化合物の一種です。体内にはアデノシンという物質があり、神経細胞の表面にあるアデノシン受容体と結合すると、神経細胞の活動を抑え、体をリラックスさせる作用があります。カフェインは、このアデノシンと構造が似ており、アデノシン受容体にくっつくことができます。そのため、カフェインが体内に入ってくると、アデノシンがアデノシン受容体に結合できなくなり、働きが阻害されてしまうのです。その結果、神経細胞の活動が抑えられず、グルタミン酸やドーパミンなどの興奮性神経伝達物質が放出され続け、脳が興奮状態になります。つまり、カフェインが直接脳を興奮させているのではなく、神経を鎮静させるアデノシンの働きを阻害することで間接的に興奮させているのです。
カフェインの主な作用は、
などが挙げられます。
カフェインを摂取後、30分程度で脳に到達して作用し、3~4時間程度持続してから、4~8時間程度で半減(体内で代謝され、血中濃度が半分まで減る)します。
カフェインを過剰摂取すると、中枢神経が過剰に刺激されてさまざまな中毒症状が現れます。
精神的な症状には、興奮やイライラ、不安や焦り、不眠などがあります。重度の場合は、錯乱や妄想、幻覚、パニック発作などが起こります。
身体的な症状には、めまいや動悸(心拍数の増加)、下痢や吐き気などの消化器官の不調が挙げられます。重度の場合は、頭痛、過呼吸、手足のけいれん、不整脈などが起こります。
成人の場合、短時間に1000mg以上摂取すると中毒症状が出るといわれますが、子どもやカフェインに敏感な人は200mgでも中毒症状が出ることがあります。さらに、重篤なカフェイン中毒になると、最悪の場合は死に至ることもあります。
食品名 | カフェイン濃度(100ml当たり) |
コーヒー | 60 mg |
玉露 | 160 mg |
紅茶 | 30 mg |
煎茶 | 20 mg |
ウーロン茶 | 20 mg |
エナジードリンク 眠気覚まし用飲料 |
32~300mg |
※食品安全委員会 (平成30年2月) 農林水産省HP より
カフェインといえばコーヒーに多く含まれているイメージですが、実は玉露に1番多く含まれます。また、エナジードリンクは商品によって含まれる量が大きく異なるため、注意しましょう。
ちなみに、表にはないですが、ココアやコーラ飲料のカフェイン含有量は100ml当たり10mg程度で、高カカオチョコレートの含有量は100g当たり70~120mg程度と、少し幅があります。
これまで挙げてきた食品の摂りすぎには当然注意が必要ですが、無水カフェインを含む市販薬やビタミン剤、ドリンク剤(栄養ドリンク)との飲み合わせについては、見落としている人も多いのではないでしょうか。
無水カフェインとは、文字通り「水を含まないカフェイン」です。作用はカフェインと全く同じで、中枢神経を刺激して頭が重くてだるい感じを和らげたり、薬の効果を高めたりするために、総合感冒薬(かぜ薬)や解熱鎮痛剤、酔い止めなどの市販薬、ビタミン剤、ドリンク剤に配合されています。
上記の薬を服用しているときにコーヒーやエナジードリンクなどを飲むと、気づかないうちに1日の摂取量が多くなってしまうことがあるので注意しましょう。対策としては、市販薬やドリンク剤を購入する際にノンカフェインのものを選ぶようにしたり、薬を服用する期間は麦茶やルイボスティーなどのノンカフェイン飲料や、デカフェ(本来カフェインが含まれる食品からカフェインを取り除いたもの)のコーヒーや紅茶を飲んだりすることがおすすめです。
ちなみに、ドリンク剤は「医薬品」や「医薬部外品」にあたり、効能や効果が表示され、服用量が決められているものをいい、エナジードリンクは「清涼飲料水」に分類されているため、効能や効果を表示することはできません。
ほかに、飲み合わせに注意していただきたいものがアルコールです。カフェインの覚醒作用がアルコールによる酔いの症状を隠してしまうため、お酒を飲みすぎてしまう危険があります。また、カフェインとアルコールの利尿作用によって、脱水のリスクも高まります。そのため、飲み会などの際は、アルコールを飲む3~4時間前から翌朝まではカフェインを控えることがおすすめです。ちなみに二日酔いの場合は、カフェインが血管を収縮させるため、頭痛の緩和が期待できます。
食品安全員会によると、健康な成人の場合、身体に悪影響のない1日のカフェイン摂取量は、400mg/日までとなっています。たとえば、コーヒー(1杯120ml)だと、1日3~5杯くらいですね。ただし、妊娠・授乳している場合は200~300mg/日までとされているため、1日2~3杯が目安になります。しかし、カフェインは感受性の個人差がとても大きいため、カフェインに敏感な人は、より少ない量にとどめた方が安心です。
上記の表にあるようなカフェインを多く含む食品は、たいていの場合100ml当たりの濃度で食品表示されているため、1杯または1缶に換算して考えるようにしましょう。特に、エナジードリンクは商品によってカフェインの量が異なるので、カフェインを多く含むエナジードリンクを1日に何本も飲むことは控えましょう。できれば、「ここぞ!!」というときにカフェインを摂ることがおすすめです。