手軽にさまざまな栄養素を摂れる便利な「スープ」料理。
日本のスープ料理の代表格と言えば、「味噌汁」が一番に思い浮かびます。
その味噌汁も味は一つだけではありません。
温かい味噌汁はもちろんのこと、日本のある地域では冷たい味噌汁も存在します。日本国内だけでもその作り方や食べ方は千差万別。
ましてや世界となると、本当にたくさんのスープ料理があります。
今回は、その中でも世界中で有名なスープ料理をいくつかご紹介します。
「好きなタイ料理は?」と聞かれて、トムヤムクンと答える人は多いのではないでしょうか。
タイを訪れたことはなくても、日本国内のタイ料理のお店で口にしたことが一度くらいあるのでは。
トムは「煮る」、ヤムは「混ぜる」、クンは「エビ」を指す言葉で、「エビの煮込みスープ」を表しています。
表面に赤い油が浮き、辛そうに感じる見た目通り、辛いものが苦手なひとには、少しハードルの高いお料理かもしれません。
トリガラをベースとしたスープに、唐辛子、タイの生姜であるグラチャーイ、こぶみかんの葉などをブレンドしたハーブを入れ、トマト、タマネギ、キノコ類、エビを加えて煮込みます。
酸味の強いタイのレモンのしぼり汁や、ナンプラー、砂糖がよく使われるそう。
「トムヤム」スープは他にも種類があり、とり肉を入れる時はトムヤム「ガイ」、豚肉を入れる時にはトムヤム「ムー」、魚を入れる時にはトムヤム「プラー」と呼ぶそう。エビだけではなく、さまざまな食材と合わせられるのも、トムヤムスープの良いところなのかもしれません。
また、トムヤムクンの味付けには、大きくわけて2種類あり、地域によって分かれています。
主に中央部・南部で食べられているのが、ココナッツミルクを加えた白濁したスープが特徴の「トムヤムクンナームコン」。ココナッツミルクだけではなくエバミルクを混ぜることもあるので、見た目も味も濃厚に仕上がるそう。
「ナームコン」には、濃い水やこってりという意味があるそうです。
もう一つの種類が「トムヤムクンナームサイ」と呼ばれるココナッツミルクを加えないで作るトムヤムクンです。
こちらは、主に北部・東北部で食べられ、スッキリとした澄んだスープが特徴です。「ナームサイ」には、澄んだ水やあっさりという意味があるそう。ハーブの香りが際立つ一品に仕上がるのだとか。
辛いものが苦手な方は、ココナッツミルクを使用したマイルドな口当たりの「トムヤムクンナームコン」の方が、食べやすそうです。
ブイヤベースは、地中海に面した南フランスにあるマルセイユという町の名物料理です。
今では、フランス全土で食べることができるそうですが、マルセイユ市が公式に定めた「ブイヤベース憲章」という決まりに則って作られたものだけが、マルセイユではブイヤベースとして認められているのだそう。
ブイヤベースは、その昔に地元の漁師が獲ってきた魚介類を使って、大きな鍋でそれらを煮込んだ漁師メシが始まりと言われています。
地中海の岩礁に住んでいる魚を使っていることがマルセイユでは条件の1つとされ、「カサゴ」「白カサゴ」「ホウボウ」「西洋アナゴ」「オコゼ」「足長ガニ」「あんこう」などの、指定された魚類や甲殻類などから4種類を必ず使用しなければいけません。
憲章に定められた魚介類と、トマトやタマネギ、香草類にサフランを加え、鍋で煮込みます。
いただく際にも決まりがあり、スープと具材は別々に供されるのが、正式な食べ方なのだそう。
マルセイユの伝統が感じられる一品です。世界三大スープの一つに数えられるのも納得です!
ボルシチは、ビーツ、タマネギ、にんじん、キャベツ、トマトなどの野菜に、牛肉やハーブを加えて煮込んだ具沢山なスープです。
旧ソ連の一部であったウクライナが発祥の料理とされていますが、今ではロシア全土に広がり食べられているそうです。
各家庭それぞれのレシピがあり、さまざまなアレンジができる料理です。
野菜の栄養素もまるごと摂れて、お腹も満たされるので、家庭料理としてはとても良い一品です。
砂糖大根(てんさい)の一種であるビーツは、なんとほうれん草の仲間だそう。赤い見た目が特徴で、スープに入れることで赤い色素が水に溶けだし、見た目にも食欲をそそる色鮮やかなスープに仕上がります。
赤い色素は、ベタシアニンというポリフェノールの一種で、ビタミンCやEと同じくらいの抗酸化作用をもっています。
その他にもカリウムや鉄などのミネラル類や、葉酸他さまざまなビタミン類なども含まれており、体に良い野菜として日本でも知られるようになってきました。
味付けはシンプルに塩と胡椒を使用しますが、ロシアのサワークリームである「スメタナ」をアクセントに投入することも多いそう。
肉とさまざまな野菜から出る味が、厳しい冬の寒さの中でも体を温めてくれそうです。
以上、世界で食べられているスープの中でも、有名な3品をご紹介しました。
日本人向けにアレンジがされていることは多いですが、今では現地に行かなくても世界の料理が日本でも味わえることが多くなってきました。
ですが、この3品の材料や作り方、いただき方などを知ると、ぜひ本場で一度食べてみたいと感じます。
まずは、日本で世界の料理が食べられるお店を見つけ、気に入った料理が見つかったらその本場へ足を運び、その国を知るというのも、新しい旅行の楽しみ方なのかもしれません。