飲む点滴 ~米麴甘酒の世界~

飲む点滴 ~米麴甘酒の世界~

近年、美容やダイエット、健康に良いということから、発酵食品への注目度が高まってきています。日本は「発酵大国」とも呼ばれるほど、特有の発酵文化を築いてきました。

数ある発酵食品の中でも、「飲む点滴」と呼ばれるほど栄養価が豊富で、昔から愛される“甘酒”の魅力についてご紹介します。

 

そもそも甘酒って?

甘酒とは、古くは古墳時代から存在したと言われる日本の伝統的な甘味飲料で、主に米を使って作られます。
甘酒とひとえに言っても、実は原材料や製法によって味わいなども異なります。主に米麹由来のもの、酒粕由来のものの2種類があります。

米麹甘酒

米麴甘酒は、米麹とお米のみを発酵させて作られています。麹の酵素によって、お米に含まれるでんぷんがブドウ糖に分解されるため、自然な甘みが感じられます。アルコール分をほとんど含まず、砂糖なしで作ることができるため、小さなお子様や妊娠中の方、お酒の弱い方でも安心して飲むことができます。

酒粕甘酒

酒粕甘酒は、日本酒造りの際にでる搾りかすの「酒粕」を水で溶かし、砂糖などで甘みをつけたものです。酒粕から作られるため、少量ですがアルコール分を含みます。また、砂糖を加えて作られるため、米麹甘酒に比べてカロリーが高くなります。

 

甘酒

豊富な栄養素を含む「米麴甘酒」

今回は、子供や妊娠中の方でも飲める「米麴甘酒」の栄養価についてみていきます。
酒粕甘酒にも食物繊維やアミノ酸などの栄養素が含まれていますが、米麹甘酒とは栄養価の面でも大きな違いがあります。

米麹甘酒に含まれる主な栄養素

  • ブドウ糖
  • ビタミンB群(ビタミンB1やB2、B6、ナイアシンなど)
  • アミノ酸
  • 食物繊維
  • オリゴ糖

米麹

効果と働き

エネルギー源になる

麹の酵素の働きによって、デンプンがブドウ糖にまで分解されているため、体内に吸収されやすいのが特徴です。そのため、脳や体を素早く動かためのエネルギー源になります。

腸内環境を整える

甘酒に含まれる食物繊維とオリゴ糖が、善玉菌のエサとなって、腸内環境を整える働きがあります。便通が改善することで、体内に溜まった老廃物の排出も促進されます。また、麹菌が作り出す酵素は30種類以上にもなり、栄養素の分解を助け、消化吸収を高める働きもあります。

 

腸内環境を整える

疲労回復

疲労の回復に必要な糖質、タンパク質、ビタミンB群などがバランスよく含まれ、吸収しやすくなっていることから、疲労回復に効果的です。また、必須アミノ酸がすべて含まれることから、サプリメント代わりに飲むのもおすすめです。

 

疲労回復に最適

美肌、美髪などのアンチエイジング効果

ビタミンB群を豊富に含み、血流や代謝を促します。血流がよくなることで、目元のくまやくすみ、肌荒れの改善に効果的です。また、髪を作るタンパク質の生成に関係しており、頭皮の血流も良くなることで、髪の健康を保つ働きもあります。

美肌や美髪などのアンチエイジング効果

飲むベストタイミングは?

飲む目的にもよりますが、空腹の〝朝″に飲むのがおすすめです。
朝は「排泄の時間」とも呼ばれ、消化によい甘酒を飲むことで、腸の活動を刺激し、排泄を促す準備が整います。また、胃腸が動くことで体内リズムが整いやすくなるほか、日中の活動に向けて素早くエネルギーを補給することができます。

 

炊飯器で作る!米麹甘酒の作り方

スーパーなどでも手軽に買える甘酒ですが、実は自宅でも炊飯器を使って簡単に手作りすることができます。米麹も簡単に手に入りますし、時間は少しかかりますが、ほとんど放置している時間ですので、是非チャレンジしてみてくださいね。

用意する道具

  • 炊飯器
  • 温度計
  • 布巾
  • へら
  • (温度が下がり過ぎたら、鍋)
材料
材料名 分量
米(一合)とそれに対する水 360ml
米麹 200g
400ml

 

作り方
  1. 米1合と水を加えて、炊飯器で少し柔らかめのご飯を炊く
  2. 炊きあがったご飯に水を加えて混ぜ、温度を55~60℃にする。温度が下がり過ぎたら鍋で少し温める(麹は60℃以上で死滅してしまうため温度に注意!)
  3. ②に米麹を崩しながら加え、よく混ぜる
  4. 濡らした布巾で覆い、炊飯器のふたをあけたまま保温モードに設定。途中、2.3回かき混ぜながら9時間程度置くと完成

※少し粘度が高くて飲みにくい場合は、水を加えたり、牛乳などで割ったりして飲んでみて下さい。

 

~抹茶甘酒ラテ~ HOT or ICE

抹茶には茶カテキン(ポリフェノール)やテアニン(アミノ酸)なども含むため、アンチエイジング効果や風邪の予防、リラックス効果も期待できます。

材料 ~2人分~
材料名 分量
米麹甘酒 200ml
豆乳 200ml
抹茶粉末 小さじ2
お湯 大さじ1~2

※甘さが足りなければ、はちみつなど

抹茶甘酒ラテ

作り方
  1. 抹茶粉末をお湯で溶いておく。これがポイント!!
  2. ①に米麹甘酒と豆乳を混ぜてできあがり♪
    お好みで、ホットでもアイスでもおいしくいただけますよ!

 

甘酒は寒い冬の日に飲むイメージが強いかと思いますが、江戸時代には夏の飲み物だったそうです。夏の暑さを防ぎ、夏バテや夏風邪予防にエナジードリンクとして重宝されていたとか。栄養豊富な甘酒を、季節を問わず気軽に取り入れてみてくださいね!

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健康管理士一般指導員 予防医学について学びませんか

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特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
全国各地で様々な対象者の方向けの講演会を行ったり、執筆活動を行うなど精力的に活躍する当協会の健康管理士、管理栄養士が担当しております。
それぞれ得意の分野を活かし、今知りたい「食や健康」をお届け!
毎月の食Doのテーマや、食Do執筆の裏側を公開する「裏食Do!」(アメブロ)Instagramなどもぜひお楽しみに!!
監修:日本成人病予防協会 会長 医学博士 片野 善夫          

       
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