日本にすっかり定着した飲み物「コーヒー」。
世界各国で、飲み方・楽しみ方はさまざまです。
お家時間が長くなった今、コーヒーの新たな味わい方を知って、お家で楽しんでみませんか?
中東が起源といわれ、世界中で親しまれるようになった「コーヒー」ですが、各地に伝わる中で、独自の飲み方に発展していきました。
現在では、コーヒー豆の産地は中央アジアやアフリカ、南米へと広がり、さまざまな種類と味の豆ができています。
商業用に主に栽培、流通しているのは「アラビカ種」と「ロブスタ(カネフォラ)種」の二つで、栽培場所と焙煎の仕方によって最終的な味わいが決まります。
今回は、品種や産地などではなく、飲み方・楽しみ方に焦点を絞って、いくつかご紹介したいと思います。
「トルココーヒー文化と伝統」として、2013年にユネスコ無形文化遺産にも登録されている、伝統的な飲み方です。
トルコでは、16世紀頃にはコーヒーを飲む習慣が根付いたそうで、カフェ文化の発祥の地とも言われています。
「イブリック(ジャズベ)」と呼ばれる長い柄のついた小鍋に、細かく挽いたコーヒー豆と水をお好みの量を入れ、沸騰させます。
煮出した液体を、フィルターなどを通さずに、そのままカップに注ぎ、粉が沈んだタイミングで粉が混ざらないように気を付けながら、上澄みをいただきます。
カップに注いだ時に、キメの細かい泡で表面が覆われていたら、淹れ方がとても上手!ということだそう。
ドリップさせないので、苦みが強く味も濃いコーヒーになるようです。
そのため、お砂糖をたっぷり加えて甘くして飲むのが、一般的な飲み方になります。甘くしていただく際は、コーヒーを煮出すタイミングで、砂糖も一緒に加えます。
カフェなどでコーヒーを注文すると、トルコの伝統的なお菓子「ロクム(ターキッシュディライト)」とお水が一緒についてくることが多いそう。
ロクムは、砂糖にでんぷんとナッツ類、または果汁などを加えて作るお菓子で、日本のゆべしのようなモチモチとした食感なのだとか。
濃い目のコーヒーと、甘いこのお菓子の相性は抜群なのだそうです。
また、お水がついてくる理由としては、コーヒーを飲む前にお水を飲むことで、よりコーヒーの美味しさを味わえることと、口の中に入ったコーヒーの粉を洗い流す目的があるようです。
現在では、小鍋をガスコンロなどにかけて煮出しますが、伝統的な作り方では、熱々に熱した砂の上に鍋を置き、砂の熱で水を温めるという方法があります。
また、飲み終わった後の底に溜まった粉の形から、今後の運勢を占うことができるそう。動物や物など、何の形に見えるかで、未来にどんなことがあるかを占うようです。
味を楽しんだ後にも、もう一つ楽しみがあるのが、トルココーヒーの楽しい伝統です。
深煎りの豆を使用し、練乳を加えて飲むのが特徴のベトナムコーヒー。
ベトナムではコーヒーの栽培が盛んで、南米の国々と並んで有名なコーヒー生産国となっています。
そんなベトナムで栽培されているコーヒーの品種はロブスタ種(カネフォラ種)と呼ばれるもので、アラビカ種の次によく栽培されている品種です。
フランス植民地時代に始まったコーヒー栽培ですが、実はアラビカ種よりもロブスタ種の方が苦味が強いということもあり、ドリップしたものをそのまま飲むには飲みにくいことから、練乳を加える飲み方が発展したようです。
金属でできた、専用のドリッパーを使って淹れます。
よく見られるのがアルミ製のドリッパー。フィルターの中に中蓋がついており、さらに、蒸らすための上蓋がついた、三つのパーツからなる調理器具です。
作り方は、まずドリッパーに中挽きにしたコーヒーの粉を入れ、中蓋をします。ネジがついていて固定できるものと、上に乗せるだけのタイプの中蓋がありますが、どちらも入れた粉をしっかりと押さえるのが、美味しく淹れるコツのよう。コーヒーの粉が強く押し固められればられるほど、抽出時間が長くなり、濃さを味わうことができるので、お好みで力を加減します。
中蓋のセットができたら、好みの量の練乳を入れたカップの上にドリッパーを乗せ、中蓋が浮かないように気を付けながら、均等にお湯が行きわたるように注いでいきます。
最後に上蓋をかぶせ、五分~十分ほどの時間をかけて抽出します。
飲む際には、下に溜まった練乳とコーヒーを甘さが均一になるようにかき混ぜてからいただきます。
また、同じように練乳を使用したスタイルの名物コーヒーがもう一つ。
それが「エッグコーヒー」です。
コーヒーの入ったカップに、卵黄と練乳をクリーム状に泡立てたものをたっぷり乗せ、よくかき混ぜてからいただきます。
コーヒーに卵という組み合わせも驚きですが、カスタード状になったクリームが、案外コーヒーの苦みに合うそう。
ちょっとしたスイーツ感覚でいただけそうです。
スペイン統治時代の18世紀頃に始まった、メキシコのコーヒー栽培ですが、現在では有数のコーヒー産地と呼ばれるほどの生産数があり、高度の高い場所で作られたコーヒー豆は、クオリティの高い豆として取引をされています。
そんなコーヒーが身近にある国メキシコでの飲み方は、トルコと同じ煮出し方式が一般的。鍋に直接コーヒーの粉を入れて作ります。
しかし、トルコのコーヒーと違うのは、そこにシナモンを加えること。
コーヒーとシナモン、ピロンシージョと呼ばれるメキシコの黒砂糖を一緒に加えて煮出すのがメキシコ流。
最後にフィルターで濾しながらカップに注いでいただきます。
豆の炒り方、挽き方などは、各人のお好みでというのも、おおらかな国民性が垣間見えるような気がします。
標高の高い場所もあるメキシコでは、一日の寒暖差が激しい地域もあるので、こういったスパイスの効いた温かく甘い飲み物が好まれるようです。
以上、世界で飲まれているコーヒーの飲み方のほんの一部をご紹介しました。
日本では、ドリップ式コーヒーが一般的ですが、世界ではさまざまな飲み方があるようです。
豆の種類や産地、炒り方、挽き方、お湯の量など、その味は幾通りにもなるコーヒーの奥深さは、一旦沼にはまってしまうと抜け出せなくなってしまいそうですね。