今さら聞けない!リンパの流れとむくみの関係

今さら聞けない!リンパの流れとむくみの関係

リンパの流れを良くすることが健康や美容に重要とされますが、なぜでしょうか?今回は意外と知らないリンパの仕組みや役割について解説していきます。

そもそもリンパってなに?

リンパはラテン語の「lympha」から派生した言葉で、「澄んだ水」という意味を持ちます。

私たちの全身には「リンパ管」が張り巡らされ、その要所要所には中継地点としてそら豆状のふくらみである「リンパ節」が存在し、リンパ管の中を「リンパ液」が流れます。そのすべてのネットワークを総称して「リンパ」と呼びます。リンパには、細菌を退治する役割や、老廃物の回収や排せつをする役割があります。

リンパはどこからやってくる?

リンパ液は「体内の2つの川」や「白い血液」と言われるなど、血液と密接な関係をもっています。

血液には、心臓から体の隅々の細胞に酸素や栄養素を送っている「行き」の役割をする「動脈」と、二酸化炭素や老廃物を含んで心臓へ戻る「帰り」の役割をする「静脈」の2つがあります。
全身の細胞が酸素や栄養素を吸収して、静脈に二酸化炭素や老廃物を排出する際、静脈に入りきらなかったものがリンパ管に流れ出し、リンパ液となります。リンパ液は血液と成分がとても似ていますが、赤血球は含んでいないため「白い血液」とも呼ばれています。

リンパ管は静脈に沿うようにして存在し、二酸化炭素や老廃物などを含んだリンパ液は「帰り」の役割のみを担っています。この「帰り」の役割を行う静脈やリンパ液は、逆流すると二酸化炭素や老廃物が流れ出してしまうため、逆流を防止するための「弁」が存在し、流れが一方通行になるような構造をしています。

リンパの仕組み

リンパの役割

リンパの役割は大きく分けて2つあります。1つは老廃物のろ過機能、もう1つは免疫機能です。

老廃物のろ過機能

リンパ管は血管に並行して存在し、全身に網目のように張り巡らされ、その中を流れるのが「リンパ液」です。リンパ液は白血球の一種であるリンパ球やタンパク質を含む透明の液体です。

リンパ管の途中にある「リンパ節」には特殊なフィルターのような働きがあり、運ばれてきた老廃物のろ過が行われます。リンパ液はリンパ節を通過するたび、老廃物が取り除かれていき、最終的にリンパ液は再び静脈に入ります。リンパ節で処理しきれなかった老廃物は、最終的にリンパ液とともに鎖骨にある鎖骨下静脈に流れ込み、肝臓や腎臓を経て排泄されます。このように、リンパ節は不要な老廃物をろ過して、体内の体液をクリーンにする重要なシステムなのです。

免疫機能

このリンパ節にはウイルスや細菌と戦ってくれる「リンパ球」などの免疫細胞が多く存在し、流れ込んできたウイルスや細菌などの異物をせき止めて排除し、外敵から体を守る免疫機能も果たします。このリンパ節が多く存在するのが、首のまわりやわきの下、足の付け根です。

例えば、風邪を引き喉が痛くなると、首のリンパが腫れるという経験をしたことがあるかもしれません。これは、首まわりのリンパ節でウイルスや細菌と戦った結果、炎症が起きたと考えられます。

リンパの役割

リンパの流れ

リンパ管は静脈に寄り添うかたちで全身に分布していますが、その分布は左右対称ではなく、体の左側と右側では異なる経路を持っています。

左側のリンパの範囲は広く、両足から左半身、左側の頭部を支配します。両足の先から流れ出したリンパ液は、足の付け根、腰や腸のリンパ節を通過すると体幹の中心で1番太いリンパの本管となります。その後、左腕からのリンパ液や頭部からのリンパ液と合流していきます。

右側のリンパの範囲は狭く、右上半身、右の頭部のみを支配しています。

リンパ液が回収した老廃物は、首、鎖骨、脇、腹部、鼠径部、腰部、ひざ裏などに存在するリンパ節に運ばれ、最終的に鎖骨下の静脈に合流します。

 

リンパ管とリンパ節

リンパの流れを改善してむくみ解消

血液は心臓の拍動がポンプの役割となって流れ出しますが、リンパは筋肉の収縮により流れているため、リンパの流れはとてもゆっくりです。血液が体の中を一周して心臓に戻るまでの時間は30秒~1分であるのに対して、リンパが足先から鎖骨下静脈にたどりつくまでは8~12時間かかるといわれています。この流れがうまくいかないと、老廃物とともに排出されるはずの水分が体に滞り、むくみが起こります。むくみを起こさないために、以下を心がけましょう。

定期的な運動を行いましょう

ふくらはぎ周りを動かすために、ウォーキングなどの運動を取り入れていましょう。適度に動くことで筋力の低下を防ぎ、運動によって血液循環も促されて代謝も促進されむくみにくくなります。

リンパマッサージをしましょう

ふくらはぎから始まり、膝の裏、太ももの付け根のリンパ節に向かってマッサージをしたり、全身のリンパ液が集まってくる鎖骨の下も併せてマッサージをしましょう。マッサージをする時は、手のひら全体を使い優しくさする程度の強さで行うようにしましょう。

 

リンパの流れをよくする

 

著者アイコン著者紹介

特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
全国各地で様々な対象者の方向けの講演会を行ったり、執筆活動を行うなど精力的に活躍する当協会の健康管理士、管理栄養士が担当しております。
それぞれ得意の分野を活かし、今知りたい「食や健康」をお届け!
毎月の食Doのテーマや、食Do執筆の裏側を公開する「裏食Do!」(アメブロ)Instagramなどもぜひお楽しみに!!
監修:日本成人病予防協会 会長 医学博士 片野 善夫          

       
この記事を
シェア
Twitter
Facebook
LINE
hatenaブックマーク
URLをコピー

URLをコピーしました

食や健康について学ぶ

関連記事

おすすめ記事