亜鉛は、体の中に約2g含まれており、主に筋肉や骨に含まれていますが、皮膚や肝臓などの多くの臓器に存在しています。
亜鉛は、体内の様々な酵素の活性化酵素や細胞分裂・新陳代謝、免疫力の向上、味細胞の形成、抗酸化作用などさまざまな働きがあります。
→詳しくは亜鉛(Zn)をご覧ください。
体内の亜鉛が不足すると発育障害や免疫不全、肌荒れ、味覚障害、精子の減少による生殖機能の低下などさまざまな症状が現れます。中でも味覚障害は亜鉛不足の症状として有名で高齢者によく見られます。しかし近年、子どもや若者の味覚障害も問題になってきています。
なぜ亜鉛が不足すると味覚障害が起こるのでしょうか。舌の表面には舌乳頭と呼ばれるぶつぶつした小さな突起が多数存在し、中には味蕾という器官が存在しています。1個の味蕾は、約50~100個の味細胞が集まって形成されており、味を感じるための重要な役割を果たしています。
味細胞は細胞の中でも新陳代謝が非常に活発な細胞で、約1カ月ごとに生まれ変わっているのです。そして、その細胞の再生には亜鉛が重要な働きをするのです。このため、体内の亜鉛が不足すると味細胞の再生が鈍くなり味覚障害の原因となります。
また、ダイエットなどで食事量が少ない状態が続いたり、偏った食事をしていると、亜鉛不足が原因の味覚障害になる可能性があるため無理な食事制限には気をつけましょう。
「日本人の食事摂取基準」によると、1日に必要な鉄の摂取量は、成人男性で8.0〜9.0㎎、成人女性で6.0〜7.0㎎とされています。亜鉛は体内で合成できないうえに吸収率(30%程度)が悪いため、食事からとる際は、促進効果のあるビタミンCやクエン酸を多く含む食材を併せてとる事がお勧めです。
また、亜鉛はファーストフードやコンビニ弁当、清涼飲料水に含まれているフィチン酸やリン酸、ポリリン酸などの物質は、亜鉛の吸収を阻害したり過剰に体外へ排泄してしまうため注意が必要です。
魚介類に多く含まれていますが、その中でも、かきやうなぎは亜鉛の量が多い食品です。その他、肉類や藻類、アーモンド、カシューナッツ、いりごま、納豆、ブロッコリー、レバー、卵などにも多く含まれています。
通常の食生活ではとり過ぎの心配はほとんどありません。ただし、サプリメントなどで誤ってとり過ぎた場合は、同じミネラルである銅の吸収を阻害して銅欠乏性貧血をおこすなどの過剰症があります。摂取量などには十分に注意して適切なご利用をこころがけてください。