調理器具の豆知識、第三弾は銅製フライパンについてご紹介します。
銅といえば、古くは弥生時代の銅鐸から、現代では硬貨や電子機器など、長い歴史の中でも私たちの身の回りで活用されている馴染み深い金属ですが、意外と銅で作られた調理器具を使った事が無い方も多いのではないでしょうか。
銅は、アルミより高い熱伝導率を誇り、食材をムラ無く焼き上げることができます。
卵焼きやホットケーキ、肉や魚のソテーといった、均一に焼き上げる料理を作るのに向いています。
テレビなどで美味しそうな卵焼きを作っている映像を見てみると、四角い卵焼き用の銅製フライパンを使っている事が多いですね。
銅の器に入れた水は何年たっても腐らない、と言われているのをご存知でしょうか?
銅は抗菌・殺菌効果がとても高い金属です。銅製フライパンで調理をすると、その過程でわずかに銅イオンが溶け出しますが、この銅イオンには殺菌効果があり、レジオネラ菌やO-157の殺菌効果も認められているのです。衛生面が重要な調理器具には嬉しい効能ですね。
銅は金属の中でも腐食しにくい素材です。そのため、柔らかいスポンジで汚れを落として水気をふき取ってしまうだけで十分です。
乾かしたあとは油を塗りこんでおくと寿命を延ばすことができます。
鉄製フライパンから鉄を摂取できるように、銅製フライパンからは銅が摂取できます。
銅は血液を作る際に欠かせない栄養素であり、不足すると銅欠乏性貧血などを引き起こします。
銅は値段が高く、職人が手作りしている商品が多い為、鉄やアルミのフライパンに比べると銅製のフライパンは値段が最低でも2倍ほど違います。
ただ、しっかり手入れをしていれば、鉄フライパン同様に長く使える一生モノのフライパンですので、長期的に考えると、テフロンフライパンを買い替え続ける方よりはお得かもしれません。
他の金属と比べて、銅は変形しやすいです。
普通に使用する分にはほとんどありませんが、長期間使用する事で、フライパンの中心が盛り上がる事もあります。また、落としたり、ぶつけたりといった強い衝撃を与えないように注意しましょう。
銅製フライパンは、表面に酸化防止のラッカー(皮膜)が塗布されています。これが残ったままですと、焦げが発生しやすくなってしまいます。
初めて使う前にはまず、水をたっぷり入れて、15分程煮沸してください。重曹を入れるとより効果的です。
もし皮膜がはがれきれていなかったら、除光液でふき取って落とし、仕上げに洗剤で洗えばOKです。
そのあとは「油ならし」をします。
鉄製フライパンのページで手順を紹介しているので、そちらをご確認ください。
→「油ならし」
使い始めから一か月くらいは油膜を十分に作るため、使う前に「油返し」をしましょう。
こちらの手順も鉄製フライパンでも紹介しております。
→「油返し」
調理後、残った料理はすぐに別の容器に移しましょう。料理を入れたままだと、フライパンの銅が溶け出し、急性銅中毒になる恐れがあります。
洗う時には洗剤を使用しても問題ありませんが、フライパンに傷がつく恐れがあるので、研磨剤が入ってないものを使用し、柔らかいスポンジで洗うようにしましょう。表面に傷が付くと焼きムラやサビの原因にもなってしまいます。
洗い終わったら水分をふき取り、湿気がない場所に収納するようにしましょう。長期間使わない場合は新聞紙に包んで保管しましょう。
銅は酸化に弱く、調理後にしっかり洗えていなかったりすると、青っぽい錆びのようなものが出てきます。
これは緑青(ろくしょう)といい、一見身体に有害そうに見えますが、厚労省の実験の結果、無毒である事が確認されているため、健康に影響はありません。
しかし、緑青があると銅フライパンの特長でもある銅イオンが出なくなってしまいます。
緑青や汚れができた場合、粒子の細かいクリームクレンザーをつけて、柔らかいスポンジでこすって落とします。
そのあとはいつも通りのお手入れでOKです。
銅製フライパンは、ホテルで食べるようなフワフワのパンケーキやふっくらした卵料理を作るにはもってこいです。
ここぞ、という時の為に1つ持っているといいかもしれませんね。