イタリアンとフレンチの違い VOL.1 では、イタリアンとフレンチの違いを歴史や調理法、食材などからアプローチしました。
フランス料理の原型であるイタリア料理ですが、イタリアンとフレンチのテーブルマナーは大きく異なっています。
テーブルマナーの違いに触れる前に、コース内容の違いやそれぞれがコースで果たす役割を紹介していきたいと思います。
は以下の順でサービスされるのが基本です。
フランス料理には見た目の華やかさに目がいきがちですが、実はお客様の健康を考えたうえで計算しつくされたコースの流れになっています。順を追ってみていきましょう。
アミューズは前菜の前に出てくる軽いおつまみのようなものです。
食前酒のお供という意味合いがありますので、お酒と一緒に楽しみましょう。
オードブルはスープの前に出される料理です。
量は少なくても、彩りの良さなどが優先され、味付けは塩味や酸味などが利いた刺激的なものが多いのが特徴です。
食欲を増進させるための役割があります。
オードブルを直訳すると作品の外という意味があり、コースは以降のスープからが本番ということになります。
手間をかけてつくったスープにはメイン料理のはじまりといった意味があり、「これから最高のおもてなしをします」というメッセージが込められています。
「スープ」は、体を温めるという役割も担っています。
一般的にパンはスープと一緒に出されます。
スープによって口全体に広がった味をリセットをする役目があります。
メインとなる魚料理で、肉料理より、魚料理から始まるのが一般的です。
お客様の消化の良さを優先した結果から、肉料理より前に提供されています。
お口直し用のシャーベットのことです。
ポワッソンで使われた油やソースの味を口の中から消し去り、冷たく甘い食べ物でリセットするという役割があります。
出てくる順はコースの内容により異なりますが、メインが2品の場合はポワッソンの後、というのが一般的なタイミングです。
フルコースのメインメニューとなるしっかりした味の肉料理です。
使われるお肉によって呼び方が分類わけされており、鶏、豚、牛、羊、鹿の他、野禽類の料理があります。
肉料理を食べ終わった段階で「そろそろお腹いっぱい」という感覚が味わえるように、ここまでの料理のボリュームや味付けが計算しつくされているのが、フレンチの緻密さを表しています。
レギュームはお肉と一緒に出されることが多いのですが、お店によってはオードブルの次に出る場合もあります。
サラダは血液をアルカリ性にする働きを持っており、お肉料理で酸性になった血液のバランスを元に戻す重要な働きをします。
チーズは口の雰囲気を変えるために出されますが、二日酔いを緩和させる力もあります。
※デザートの前に出る場合があります。
デセールは、フランス語で「お皿や料理を片づける」という意味を持っています。
メインのお料理をきれいに片づけた後に、専用のカトラリーが用意されてからサービスされます。味だけでなく、見た目も楽しんでもらえるように工夫されています。
また、甘いものには最後の満足感を演出することに加え、胃腸を活性化させる役目もあります。
フルコースのラストは、コーヒーと一口サイズの小さなお菓子です。
カフェインにはリラックス効果があり、コーヒーに含まれるクロロゲン酸には、脂肪燃焼の効率を高める効果もあります。
小さなお菓子とコーヒーを味わいつつ、食後の雑談を楽しむのもフレンチ流と言えるでしょう。
イタリアンのコース料理は、フレンチのコースに比べて品数が少なく親しみやすいのが特徴です。
イタリアンのコースの順番にもとても合理的な意味があります。コースの順番と、それぞれの意味についてご紹介します。
ストウッツィキーノは、フレンチのアミューズにあたり、食前酒を注文すると出てくるオリーブのオイル漬け・ピクルスなどの手軽な物がサービスされます。
コースの前に胃をウォームアップする役割がありますが、日本のイタリアンでは提供されないことも多いようです。
前菜の「アンティパスト」の役目は、フレンチのオードブルと同じく食欲を駆り立てることにあります。
肉(赤)・チーズ(黄)・野菜(緑)の3色を使って彩られるのが特徴で、食欲を増進させるために、塩味や酸味など刺激的な味付けのものがサービスされます。
複数用意されている場合は、冷たい料理から暖かい料理の順でいただきましょう。
お店によって提供されるタイミングは異なりますが、パンの持つ役割は、料理間の箸休めやお口直しです。
そのため、アンティパストの前に出されたとしても、先にパンを食べないようにしましょう。
1つ目のメイン料理は、「第一のお皿」という意味の「プリモ・ピアット」です。
イタリアンはフレンチと違って、フルコースの品目が少ないため、パスタやリゾット、ニョッキなどの炭水化物が「第一のお皿」として登場します。
これには、少ない品目でお腹をいっぱいにさせるという役割があります。
2つ目のメイン料理は、「第二のお皿」という意味の「セコンド・ピアット」、いわゆるメインディッシュです。
魚料理または肉料理が一般的ですが両方サービスされることもあります。熱々のメニューが出されるのもイタリアンの特徴の一つです。
ワインと一緒にいただいてより深い味わいを楽しみましょう。一般的に魚料理は白ワイン、肉料理は赤ワインと一緒にいただきます。
肉料理で酸性に傾いた血液を、元に戻すため、アルカリ性のサラダが登場します。
コントルノは、副菜という意味があり、野菜料理がメインですが、サラダだけではなくホウレン草のソテーやジャガイモ料理などが提供されることもあります。セコンド・ピアットと一緒に出されることが多いようです。
パルメザン、ペコリーノ、リコッタ、モォツァレラ等、色んなチーズがあります。メイン料理が出た後に自分で食べたいチーズを選択して食べる事が出来ます。
レストランによっては、「チーズ」はコースに含まれていない場合もありますので注文の際はご注意ください。
フルコースの最後は、「ドルチェ」と呼ばれる甘いデザートです。
ドルチェは、本来「焼き菓子」を意味しますが、ティラミスやパンナコッタ、季節の素材を使用したタルトなどが出されることが多く、日本で一般的にイメージするようなケーキが出されることはないようです。
イタリアンのフルコースの最後のコーヒーは、基本的にエスプレッソ・コーヒーが出されます。ドルチェで甘く満たされた口の中をさっぱりとさせて、苦味で酔いを醒まさせる役割があります。
イタリアンとフレンチのコースの流れとそれぞれの役割を簡単に紹介しました。
次回は、それぞれのコース料理のマナーの違いを紹介いたします!