グルテンフリーとは、小麦に含まれるグルテンによる身体への影響を予防するための食事方法の名称です。プロテニスプレイヤーのノバク・ジョコビッチ選手が書籍で明かした食事療法で有名になりました。その後、健康志向の海外セレブやアスリートなどがSNSなどで発信し、海外でブームとなり、日本でも話題になっています。
原因不明の下痢や便秘、肌荒れ、集中力の低下などが気になる人は、一度グルテンフリーを試してみてもいいかもしれません。
グルテンフリーを取り入れることで、どのようなメリットがあるのか、またどんな食事方法なのか解説していきます。
グルテンとは、小麦、ライ麦、大麦などに多く含まれるタンパク質のことです。
小麦粉は水と一緒に捏ねることによって、粘りと弾力がでてきます。これはグルテンの働きによるものです。パンやケーキを膨らませたり、うどんなどの麺類にコシやもちもちとした食感を出したりしてくれる存在です。
グルテンは、粘性を持っているグリアジンと弾性を持っているグルテニンというふたつのタンパク質が、水で練ることで組み合わさり、グルテンとなります。
【グルテンが多く含まれる食品】
パン、ピザ、パスタ、ラーメン、うどん、そうめん、そば(十割そば以外)、シリアル
餃子、カレーのルー、天ぷらの衣、ケーキ、クッキーなど
さまざまな食品や料理に小麦粉は含まれています。
現代の日本人は、日常的にグルテンを食べていることが多いです。
グルテンは、人の消化酵素で分解しにくい構造をしており、腸の炎症を起こして腸を弱くしてしまうと言われています。グルテンにより腸に炎症が起きていると、疲れがとれない、体がだるい、集中できない、肌荒れ、生理不順や重い生理痛、下痢や便秘などといった不調が起こることがあります。
グルテンによる不調に悩む方たちは、主に2種類の原因があります。
・グルテン過敏症:小腸が過敏にグルテンに反応してしまう
・グルテン不耐症:グルテンをスムーズに消化できない
小腸に炎症が起きていると、十分な栄養素を吸収することができず、ビタミンB群や鉄分などの不足にもつながる可能性があります。日頃、体調や精神的に不調を感じている人の中には、グルテンの取りすぎによることが原因である可能性があるため、グルテンフリーを取り入れてみるのも良いかもしれません。
以前、アレルギーの回でご紹介したIgEタイプのアレルギーは食べるとすぐに症状が出てしまう食物アレルギーです。症状が遅れて現れるIgGタイプのアレルギーでは、自己免疫疾患などに当てはまることがあり、食事から抜いてみると体が楽になることからアレルギーに気づくこともあります。
グルテンに関連した疾患も、このIgGアレルギーに関係していると言われており、気になる方は期間を決めて体調の変化を観察しながらグルテンフリーを試してみてもいいかもしれません。ただし、小麦粉アレルギーとわかっている人は、小麦に含まれるグルテン以外の物質にアレルギーを持っている場合もあるので、自己判断はしてはいけません。
グルテンにより小腸が傷つけられてしまい栄養の吸収が阻害されてしまう、自己免疫疾患のセリアック病というものがあり、
症状としては、腹痛、下痢、便秘、体重減少、体重過多、鉄欠乏性貧血、子供では消化や吸収不良などにより発達障害などもみらると言われています。。
胃腸にさまざまな症状がみられることから、他の疾患と診断され見落とされることも多くなっています。もしも、セリアック病と診断された場合には、主治医や管理栄養士の指導の下、グルテンフリーを行う必要があります。
セリアック病は、小麦をよく食する欧米の人々に多い病気です。日本では、セリアック病の患者はほとんどいません。ただし、グルテンや小麦へのアレルギー反応を起こす人が増えているのが現状です。
勝手な自己判断は危険ですので、消化器内科やアレルギー内科などを受診するようにしましょう。
グルテンは、アレルギー症状として体調や精神の不調が現れることなどを紹介してきましたが、肥満の原因にもなります。
グルテンは、腸に炎症を起こすため、小腸に多く分布している食欲抑制ホルモンの分泌を阻害し、食欲が止まらなくなります。その他、グルテンには中毒性があり、一度食べるともっと食べたいと脳が錯覚して食べ過ぎてしまうと言われています。
急激にパンや麺類などを摂りすぎてしまうと、血糖値が上がりインスリンが作用して、血糖値は下がりますが、余った血糖が脂肪として肝臓に蓄えてしまうのです。そして、グルテンにより腸の粘膜が弱くなっていると、肝臓で炎症を起こす物質が入ってきてしまいます。すると、インスリンの効き目が悪くなってしまい、血糖値は上がりやすくなりより一層、脂肪が蓄積されてしまうので、食べ過ぎには注意しましょう
グルテンフリーを適度に取り入れて、腸を安定させて健康的に痩せやすい体質につなげていきましょう♪
パンを主食に多く食べていた人は、主食をご飯にしてみるところから始めましょう。洋食よりも和食にすると、自然にグルテンは控えることができます。
また、厳密な除去が必要でない場合は、市販のグルテンフリーと書かれた商品などをたまに取り入れてみるのもいいかもしれません。
【グルテンフリー食品】
米粉を使ったパン
大豆粉やオートミールを使用したクッキーやケーキ
おせんべい、餅、団子といった和菓子類
ナッツやフルーツ
日本酒、ワイン、梅酒、第三のビールと呼ばれる麦芽を使用してないビールなど
※製造過程やフレーバーなどにより微量に含まれていることもあるのでアレルギー体質の人は注意が必要です。パッケージの食品表示などをよく読んでから食べましょう。
小麦粉には、食物繊維やビタミンB群が豊富に含まれるので、グルテンフリーを行う際には、これらの栄養素が不足しないように他の食品から取り入れるようにしましょう。
グルテンフリーの効果は個人差があり、期間を決めて体の調子を確かめながら取り入れてみてください。
アレルギー症状があり、完全に除去しなくてはならない場合を除き、健康法の一つとしてグルテンフリーを行う場合は、完全に置き換えるのではなく、まずはグルテンを減らすというところから始めてみましょう。