新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、在宅勤務で仕事をする方や、自粛をして家に引きこもりがちになる高齢者などが急増しています。
そのような状態が長く続けば、明らかに運動不足の状態に陥ります。運動不足は肥満になるだけではなく、筋肉量が減少し高齢者では、サルコペニア、フレイルにもつながる危険があります。
フレイルとは、高齢者の健康状態と要介護状態の間にある「虚弱状態」を指します。
まだ介護は必要ないけれど、なんとなく体調が優れない、足腰や口周りに不安がある、人付き合いがおっくう…など、年齢とともに生じる心身の衰えです。
75歳以上で大きく増え、全国で約350万人以上いるといわれています。
フレイルには「身体的フレイル」「精神的フレイル」「社会的フレイル」と呼ばれるさまざまな側面があります。これらは単独で起こるのではなく、生活習慣や身体・心の状態によって複雑に絡み合いながら進行していきます。
なお、サルコペニア(筋肉量の減少から握力や歩行速度が低下した状態)や、ロコモティブシンドローム(運動器の障害による日常生活の自立度が低下した状態)は、フレイルの身体的問題に含まれます。
厚生労働省は、2020年度よりフレイルの人を把握するために、75歳以上を対象に新な健診制度である「フレイル健診」を導入しています。
フレイル健診は市区町村の健診や、かかりつけ医での受診の際などに実施され、血液検査などのデータと、病気や介護の状態などを確認しながら行われます。
フレイル健診の質問票は、以下の通りです。
類型名 | 質問文 | 回答 | |
---|---|---|---|
1 | 健康状態 | あなたの現在の健康状態はいかがですか | ①よい ②まあよい ③ふつう ④あまりよくない ⑤よくない |
2 | 心の健康状態 | 毎日の生活に満足していますか | ①満足 ②やや満足 ③やや不満 ④不満 |
3 | 食習慣 | 1日3食きちんと食べていますか | ①はい ②いいえ |
4 | 口腔機能 | 半年前に比べて固いもの(さきいか、たくあんなど) が食べにくくなりましたか |
①はい ②いいえ |
5 | お茶や汁物等でむせることがありますか | ①はい ②いいえ | |
6 | 体重変化 | 6カ月間で2~3㎏以上の体重減少がありましたか | ①はい ②いいえ |
7 | 運動・転倒 | 以前に比べて歩く速度が遅くなってきたと思いますか | ①はい ②いいえ |
8 | この1年間に転んだことがありますか | ①はい ②いいえ | |
9 | ウォーキングなどの運動を週1回以上していますか | ①はい ②いいえ | |
10 | 認知機能 | 周りの人から「いつも同じことを聞く」 などの物忘れがあるといわれていますか |
①はい ②いいえ |
11 | 今日が何月何日か分からないときがありますか | ①はい ②いいえ | |
12 | 喫煙 | あなたはたばこを吸いますか | ①吸っている ②吸っていない ③やめた |
13 | 社会参加 | 週に1回以上は外出をしていますか | ①はい ②いいえ |
14 | 普段から家族や友人と付き合いがありますか | ①はい ②いいえ | |
15 | ソーシャル サポート |
体調が悪いときに、身近に相談できる人がいますか | ①はい ②いいえ |
フレイルの状態が長く続き、悪化していけば要介護や寝たきりのリスクが高まります。
一方で、早期に適切な対策を行うことで健康な状態に戻ることも十分に可能です。
いつまでも元気で長生きできる「健康寿命」を目指して、運動習慣や食生活を見直し、家族・友人みんなで予防に取り組んでいきましょう!