毎日の和食こそおいしくつくりたい!家庭で役立つ、ちょっとした和食調理のコツをシリーズでお伝えします!
第五弾は、「薬味 ~根菜編~」です。
薬味の歴史は、平安時代に遡ります。
平安時代前期に中国から唐菓子(米粉や小麦粉などに甘味料を加えてこね、果物の形をつくった後揚げた製菓)が導入されたときに、うどん祖型(小麦粉をこねて伸ばし、ひも状あるいは団子状に切ったもの)が導入され、その後、江戸時代初期になると、うどん祖型がうどんに発展、江戸町民に人気となります。
その際、うどんに薬味を使うようになったのが、和食における薬味の歴史の始まりといわれています。
和食で使われる薬味は、料理の彩りのほか、風味や香りを引き立て、食欲増進をそそります。材料を大きく分けると、
などがあります。
今回は、①の根部を使う食材を紹介します。
大根やわさび、生姜、玉葱、にんにくなどがあります。
大根はそのまま食べても辛くありませんが、すりおころすと辛くなるのは、大根の細胞が壊れ、大根の細胞の中に存在するミロシナーゼが活性化し、辛味成分であるアリルイソチオシアネートが生成するためです。
細胞が壊れるほどミロシナーゼが活性化するので、辛い大根をつくりたいときは、大根の繊維(細胞膜)を断ち切るようにおろすのがおすすめです。
一方、大根おろしは、加熱すると甘くなります。
これは、辛味成分のイソチオシアネート類が揮発性なので、加熱すると揮発し、もともと大根に含まれる糖質(ブドウ糖)の甘みを感じるためです。
わさびは、アブラナ科わさび属の植物で、可食部は地下の根茎です。
根茎をすりおろしたものを「わさび」と呼んできます。
わさびの辛味と香りは、根茎をすりおろしたときに、酸素に触れたミロシナーゼの働きで、シニグリンというからし精油配糖体が分解され、アリルイソチオシアネート(大根と同じ辛味成分)が生成されるためです。
また、わさびの中で、シニグリンが存在する部位は、表皮と皮層の間といわれています。
そのため、わさびの皮を剥いてしまうと、辛味のあるわさびをすりおろすことができません。
わさびは先端部にしたがって辛くなりますが、先端部の方が表皮と皮層の割合が多いためです。
このように、大根やわさびに代表される薬味の根菜類は、「すりおろす」ことで辛味が増します。
また、すりおろした直後よりも、5分程度放置した方が、ミロシナーゼが活性する時間が長くなり、アリルイソチオシアネートが多く生成されるため、辛味を強く感じるといわれています。
薬味は和食独特の使い方で、料理のアクセントになります。
根菜類は、すりおろすポイントを押さえて使ってみてください♪