前回で「和食の献立」を紹介いたしました。
和食のマナーや作法というと、なんだか難しそうですが、基本を覚えれば、あとは応用するだけです。どの料理でも共通していることですが、食事は楽しく、相手や周りに不快な思いをさせないことが基本になります。ふだんの食事から意識してみましょう。
今回は、和食のマナー ~配膳・席次~ をご紹介いたします。
お膳に料理を並べるときの定位置
定位置は、必ず覚えておきましょう。
前提としては「食べやすいこと」。
「お箸を右手に、お茶碗を左手に」が基本で、持ちやすいように料理を配膳します。
基本的な配膳
基本的な配膳は、「一汁三菜」です。
※「一汁三菜」とはご飯と汁と3種類のおかずのことです。
- ご飯(飯)は手前の左側
- 味噌汁・お吸い物(汁)は手前の右側
- 香の物・和え物(副々菜)は真ん中
- 煮物(副菜)は奥の左側、刺身は奥の右側
- 刺身(主菜)は奥の右側
となります。
酒席などで配膳するとき
※お酒の席では、ご飯は後で出てくるため、一緒に配膳はしません。
- グラスは手前の左側
- 汁物は手前の右側
- 前菜は手前の真ん中
- 煮物は2列目の左側
- 刺身は2列目の中央
- 焼き物は2列目の右側
- 酢の物は最も奥の左側
- 揚げ物は最も奥の中央
- 蒸し物は最も奥の右側
となります。
和室のときの座席について
和室のときの座席は、席次といって座る順番があります。
基本的に、出入り口に一番遠い場所や床の間のある側が上座、出入り口に一番近い場所が下座となります。
しかし、テーブルの向き、室内の造りや調度品、人数などによって上座・下座が変わってきます。どうしてもわからない場合は、お店の人などに尋ねてもよいでしょう。
上座には、目上や立場の上の人、招待や接待の場合はお客様、お祝いなどの場合は主役の人が座ります。
目下にあたる人は気を配り、目上の人に上座をすすめましょう。
床の間が無いとき
- 出入口の遠い席が上座、近い席が下座になります。
- 座る位置は、すすめられてから、それに従います。
勝手に座るのはマナー違反になります。
座布団もすすめられてから使用します。
- 取引先やお客様との会食のときは、部屋に通されたら、部屋の隅か下座に座り、軽く会釈をします。
席をすすめられてから、座布団の左横に座ってあいさつを述べて、座布団を使用します。
床の間があるとき
- 床の間があるときは、それを背にした席が最も上座になります。
次は、床棚(床の間の隣の違い棚)の前の席になります。
座布団の使い方
- 座布団には前と後ろ、表と裏があります。
縫い合わせのないほうを前、締め糸の房がついているほうを表にして使います。
- 座るときは下座側から座り、席を立つときも下座側に降ります。
- 座る場所はあらかじめ決められています。
招待されている人は位置を変えたり座布団を動かさないようにします。
- 座布団は足で踏まないようにします。
- 挨拶をするときは座布団から降りて挨拶をします。
座布団への座り方
- 座布団の斜め後ろから、両ひざを少しずつ動かしてにじり寄り、
両手をかるく握ってひざの両わきにつき、ひざがしらを座布団にのせます。
- 次に、握った両手を、体の両わきより少し前につきます。
そのこぶしを支えにして、体を少しずつ前に移動させていきます。
- 座布団の中央まできたら、前の手を軸に体を回転し、正面を向きます。
はずすときは、後ろににじり下りるか、ひざから横に下りるようにします。
和室でしてはいけないこと
- 座敷に背を向けて(後ろ向き)に靴を脱ぐ
必ず正面を向いて、その後、靴を揃えましょう。
- 座布団を踏む
座るときも歩くときも踏みつけてはいけません。
- 敷居を踏む
和室の出入り口の敷居を踏まないよう気をつけます。
- 畳のへりを踏む
畳のへりは傷みやすいので、踏まないように歩きます。
- 畳のへりに座る
挨拶をするときなどは気をつけましょう
次回は、お箸の使い方などについて紹介しましょう!