調味料の中で、塩とともに最も起源が古いといわれているお酢。古くから世界各国でその地域の農産物を原料に作られてきました。原料や製法によって種類も豊富で、今では4,000種類以上あるとか。今回は、そんなお酢の種類や働きについてご紹介します。
お酢の材料
簡単にいえば、お酒を発酵したものがお酢となります。ちなみに、英語でお酢を意味する「vinegar」は、フランス語の「vin(ワイン)」と「aigre(すっぱい)」が合わさってできた言葉です。
お酢の種類はお酒の種類と深い関係があり、アジア圏では主に米酢などの穀物酢が、フランスやイタリアではワインビネガーが多く使われています。
お酢の種類
醸造酢(穀物酢・果実酢)
穀物や果実を醸造して作られたお酢です。穀物酢には米酢、黒酢などがあり、果実酢にはワインビネガー、りんご酢などが代表的です。酸味成分はもちろん、原料である穀物や果実の自然の甘みや旨みがバランス良く含まれています。「体に良い」といわれるお酢は、一般に長期熟成・発酵して作られた天然の醸造酢を指します。
- 米酢
米が原料で、アミノ酸が豊富に含まれているお酢です。米だけを使った「純米酢」、玄米だけを使った「玄米酢」、他の米酢より熟成させる期間が長い「黒酢」があります。米で作られているため、ご飯との相性は抜群です。
- 黒酢
米酢の一種で、玄米と麹が原料です。全工程を壺の中で行った後、1~2年じっくり熟成させることから「壺酢」とも呼ばれます。他のお酢に比べ、アミノ酸やミネラルを豊富に含み、コクや風味が豊かで健康に良いお酢として人気です。
- りんご酢
りんご果汁が原料で、りんごの生産が盛んなアメリカでポピュラーなお酢です。風味がまろやかで野菜との相性が良いので、ドレッシングやハチミツなどで薄めてドリンクにも最適です。
- ワインビネガー
ぶどうの果汁やワインが原料です。ワインと同様に赤と白の2種類があり、赤ならコクのあるどっしりとした味わい、白なら軽くあっさりとした味わいが楽しめます。
- バルサミコ酢
ワインビネガーと白ぶどう果汁を煮詰め、数年から数十年も熟成を行ったものです。熟成期間が長いものほど珍重されています。「バルサミコ」とは「芳香性の」という意味で、香りが高く、まろやかな甘みがあります。
合成酢(すし酢・ぽん酢・和え酢など)
人工の酸味料や甘味料、香料などを調合して作られたお酢です。
お酢の働き ~健康編~
- 疲労回復・・・体に溜まった疲労物質を分解します。
- 生活習慣病・動脈硬化の予防・・・血液の流れをスムーズにします。
- ダイエット効果・・・代謝を促進し、余分な脂肪を燃焼させます。
- 骨粗しょう症の予防・・・カルシウムの吸収を良くします。
- 二日酔いの予防・・・アルコールの吸収速度を緩やかにします。
- 食欲・消化促進・・・唾液や胃液の分泌を促し、食欲不振や消化を助けます。
- 冷え性対策・・・毛細血管の血液循環を良くし、体を温めます。
お酢の働き ~料理編~
- 防腐・殺菌効果・・・防腐・殺菌効果があり、保存性を高めます。
- 減塩のサポート・・・調味料にお酢を加えると味にアクセントがつき、塩の量を減らしても美味しく食べることができます。
- 野菜の渇変防止・・・れんこんやごぼうなどを切った後に酢水につけておくと、野菜の渇変が防げます。
- ヌメリとり・・・里芋やわさびなどのヌメリとりに、水とお酢を半々に入れて洗うと効果的です。