気温が下がるとともに、大気中の湿度も下がってくるこの季節。
空気が乾燥してくると、肌がかさついたり、口の中や鼻・のどなどの粘膜も乾燥し、感染症にもかかりやすくなってきます。
今回は、身体を潤すために有効な対策を考えていきましょう。
毎日の食事や呼吸で外のものに直接触れることが多い「口・鼻・のど」は、食べ物や空気に交じって入ってくる病原体に、一番最初に出会う場所です。たいていは、ここで免疫が反応し、体の中で増えることなく駆逐されていきますが、この免疫力が落ちている時には、さまざまな細菌やウイルスなどに侵入を許してしまいます。
なぜ冬場に感染症が流行るのかは、すでに皆さんご承知のこととは思いますが、空気中の水分量(湿度)が低くなることで、空気中を漂っている細菌やウイルスが舞い上がりやすくなります。それに加え、口・鼻・のどの粘膜も乾燥しやすくなるため、防御機能も低下し、より一層病原体に感染しやすくなってしまうのです。
では、空気が乾燥する冬の季節、感染症を防ぐにはどうしたら良いのでしょうか?
加湿器などを使い、部屋の中の湿度を一定に保つことが有効です。部屋内の湿度が常時50%前後くらいを保つように調整するのが理想です。
アロマの香りとともに加湿をしてくれる機械や、市販のペットボトルを活用した機械、紙を使用したエコなタイプの加湿器など、さまざまな製品が販売されています。
部屋の広さや用途によって、それらの製品を使うのも一つの手です。
また、機械がなくとも濡れタオルを室内に干しておいたり、お湯を張った洗面器を室内に置くだけでも加湿になります。
部屋の中の乾燥が気になる際は、これらの方法を試してみてはいかがでしょうか。
夏場は汗によって体の中の水分が失われますが、冬の間は乾燥と水分摂取量の減少により体内水分量が失われて、気づかない間に脱水となっていることがあります。
水分をとらないということは、口やのどを通過する水分がなくなるということにもなりますので、より一層「口、鼻、のど」の乾燥が進みます。
常温のお水でも構わないので、一定時間が経ったら水分を口にすることが大事です。冬の間も、夏場と同じくらいに水分補給を意識しましょう。
体の内側から保湿能力を上げるのも大事なことです。
粘膜の健康を維持するために有効な栄養素として重要なタンパク質に加え、「ビタミンA(βカロテン)」「ビタミンC」「鉄」などを同時に摂取しましょう。
皮膚細胞の分化を促し、目や皮膚の粘膜の健康を維持、また、体の抵抗力を強める役割があります。脂溶性ビタミンですので、含まれる食材を油で調理することで、効率よく体内に摂取することができます。
うなぎ、卵、レバー(鶏・豚)、にんじん、かぼちゃ、海藻類に多く含まれています。
皮膚全般の健康維持に効果が知られている栄養素。コラーゲンの生成の他、植物性食品に含まれる非ヘム鉄の体内吸収を助ける役割もしています。
水溶性ビタミンですので、熱に弱く、茹でると煮汁に養分が溶けだしてしまいます。調理方法としては、スープにしたり生食することで、栄養素を効率よく摂取できます。
赤ピーマン、ブロッコリー、キウイフルーツ、イチゴ、柑橘系果物、キャベツ、じゃがいもなどに多く含まれています。
赤血球を作る元として鉄分が必要であることを知っている方も多いと思います。
なぜ鉄分が粘膜の健康維持に必要なのかと言いますと、皮膚や粘膜に十分な酸素が行きわたらないことが、新陳代謝の低下につながり、さらに乾燥やアトピー性皮膚炎などへとつながってしまうこともあるからです。
鉄は主に2種類に分けられ、動物性のヘム鉄と、植物性の非ヘム鉄があります。
ヘム鉄の方がそのまま体に吸収されやすい性質を持ちますが、非ヘム鉄は、体内に吸収されづらい性質を持ちます。ですので、非ヘム鉄を効率よく体内に取り入れるためには、ビタミンCを一緒に摂取することが最適です。
レバー(鶏・豚・牛)、赤身の肉類、赤身の魚類、あさり、大豆、小松菜、ほうれん草、プルーンなどに多く含まれています。
今回は、体内でビタミンAに変化するβ-カロテンを豊富に含んだ小松菜、人参を使ったスープをご紹介します!脂溶性であるビタミンAの吸収を高めるため、オリーブオイルを少し加えましょう。また、小松菜は鉄とビタミンCが、豆乳にはタンパク質が豊富に含まれます。寒い季節に温まる栄養たっぷり豆乳スープをぜひ作ってみて下さい♪
今回は、身体(粘膜)を潤す食についてご紹介しました。
寒い季節になると、ハンドクリームやリップクリームなどを使用することが増え、肌表面のケアに注意する方は多いかと思います。
同じように粘膜にも注意を向けることで、感染症にかからず健康に暖かい季節を迎えられたら良いですね。