2015年9月の国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))』を受けて、世界の人たちが目標としているのが「サスティナブルな社会 = 持続可能な社会」です。
具体的に持続可能な社会とは環境を壊さず、資源を使いすぎることなく、未来の世代も美しい地球で平和に豊かな生活を続けていける社会のことです。
そのために1人1人ができる取り組みとして、今回はサスティナブルな食器やカトラリー(ナイフやフォーク、スプーンなど)の使用や選択について考えていきます。
消費者として使い捨てのプラスチック製の食器やカトラリーを使わずに、環境に配慮したものを選ぶことは、SDGsの12番目の目標「つくる責任 使う責任」に貢献することになります。
毎日使う食器やカトラリーからサスティナブルな取り組みをはじめてみるのはいかがでしょうか?
日本では2020年7月からレジ袋有料化がはじまり、皆さんもエコバッグを利用していると思います。
続いて今年の4月からはプラスチックの資源循環を促進し、プラスチックごみを減らすことで持続可能な社会を実現することを目的としたプラスチック資源循環促進法が施行されました。
プラスチックを使用した製品の設計から廃棄処理まで全てにおける資源の循環などの取り組みを促進するための法律です。
原則とするのは3R+Renewableの促進です。
これまで「環境に配慮する」と言えば、容器包装リサイクル法とういう法律で、ごみは出る前提で、Reuse(リユース)・Reduce(リデュース)・Recycle(リサイクル)によって「いかにごみを減らすか」がポイントでしたが、プラスチック資源循環促進法により、この3Rに加え、「廃棄を前提とせず、使用後も資源として活用する」Renewable(リニューアブル)の視点が盛り込まれました。
これにより単にプラスチックを「捨てる量を減らすこと」だけではなく、「捨てることを前提としないモノづくりをすること」を目指しています
環境問題の深刻化、諸外国による廃棄物輸入規制強化に伴うプラスチック資源循環の必要性の高まりなどがあります。中でも世界規模で注目されている、海洋プラスチック問題はSDGsの14番目の目標「海の豊かさを守ろう」にも該当する課題です。
使用後廃棄されたプラスチックが適正に処理されないと、海へ流出しプラスチックごみとして漂流します。プラスチックは分解速度が遅く、「マイクロプラスチック」と呼ばれる5mm以下のサイズになったあとは、数百年間自然分解されることなく水中に残り続けます。
その結果、プラスチックごみによる海洋汚染が世界規模で広がったのが、海洋プラスチック問題です。
海洋プラスチックごみによる影響には、次のようなものが挙げられます。
また、プラスチックは魚などの体内に溜まり、やがて私たちがプラスチックを取り込んだ魚を食べることで、私たちの体にもマイクロプラスチックが蓄積すると言われています。
日本は2019年の使い捨てプラスチックの総廃棄量が世界第4位で、世界的に見ても多くのプラスチックを消費・廃棄しているのが分かります。
(出典:一般社団法人日本エシカル推進協議会「「使い捨てプラスチック」の世界ランキング公表」)
これまで以上に国内処理と脱プラスチックを進めることが求められます。
エコバッグだけではなく、紙ストローや紙パッケージの導入といった脱プラスチックの動きも本格化しています。コンビニエンスストアでもペットボトルやお弁当の容器などで「生分解性プラスチック」を使用している割合が増えてきています。
通常のプラスチックと同じように使えて、使用後は自然界の微生物によって水と二酸化炭素に分解され、自然に還るプラスチック
コンビニなどで気軽にもらっているフォーク、スプーン、ナイフ、マドラー、ストローなどは企業の努力によりプラスチックの使用量を減らしたり、代替素材に置き換えられたりしています。個人ではマイボトルのようにカトラリーを持ち歩く、「マイカトラリー」という新習慣が話題になっており、関連した商品も多く販売されています。
廃棄物の発生防止、削減、再生利用、エコでサスティナブルな素材を使ったカトラリーをご紹介。
竹は一日の成長速度が速く、成長して刈られても死なずにまた成長します。また、他の木々に比べ約35%も多くの酸素を生み出すと言われています。竹はサスティナブルな素材として森林の持続的な管理に当てはまるためSDGs15「陸の豊かさを守ろう」にも貢献しています。農薬や大量の肥料もいらないため、環境に優しく、かつ安価で安定して手に入りやすい素材です。「サスティナブル」な以外にも、抗菌力に優れているなどもメリットもあり、昔から竹は抗菌力が重宝されており、おにぎりを包むなど食べ物の保存に使用されてきました。
こうした観点から、竹から取り出した繊維をパウダー状にして固めた「バンブーファイバー」などがスプーンやフォークの素材として使用されています。
今まで捨てられていた抽出後のコーヒー殻を特殊技術でプラスチックと合成したものが、カトラリーの素材として使われています。不要となった有機資源を再利用して、石油来のプラスチック使用量を削減することで自然環境への負荷を軽減することが可能です。
「バイオマスマーク」を取得しているモノもあり、環境に配慮したアイテムであることが分かりやすくなっています。
生物由来の資源(バイオマス)を活用し、品質および安全性が関連する法規、規格等に適合している環境商品の目印。
紙でできたストローというと水に弱いイメージがありますが、紙ストローに使用されている紙は、水につけた場合でも1時間後もしっかりと吸うことができます。また曲げることができるため、まっすぐなストローだと飲みにくいお子様にもオススメです!
「紙」は、循環型資源である木を主原料として、優れたリサイクル性・生分解性を有する素材です。またプラスチックの物と違い、誤って捨てられてしまった場合でも、相対的に分解するスピードが早く、環境にも良いといえます。
英語でエディブル(edible)とは日本語で「食べられる、食用の」という意味です。最近料理やお菓子に飾られている花を見かけますが、使われている花は食べることができる食用の花、エディブルフラワーです。
そんなエディブルフラワーに掛けて「エディブル・カトラリー」「エディブル・コンテナ」などとも表現される、食器として使ったらそのまま食べられる、おいしいエシカルな食器をご紹介します。
エスプレッソやカフェラテを注いで、飲んだあとで食べられるデミタスカップが話題となっています。
デミタスカップとはフランス語で「デミ」は半分、タスは「カップ」を意味し、一般的なコーヒーカップの半分ほどを容量としたカップのことです。エスプレッソを美味しく楽しむために開発されたものであり、2020年にはグッドデザイン賞、ソーシャルプロダクツアワードをダブル受賞しました。
また、グルテンフリー素材を使用しており、アレルギーへの配慮もされているのもポイントです。
液体を注ぐ際に気になる耐水性もしっかりカバーしている食べられるカップです。常温または冷たい液体であれば注いで1時間ほどは耐水性があります。
ビールやアイスコーヒーなどドリンクだけでなく、食べ物も入れられるため、冷製のポタージュやカレーライスなどをいれるのにもオススメです。ホームパーティやキャンプでも喜ばれそうです。
カップ自体に複数の味があるのでカップだけでも美味しく食べることができます。
原材料は小麦粉、砂糖、卵、野菜パウダー、抹茶だけです。
おから、いぐさ、ビーツ、かぼちゃ、抹茶など野菜を使ったカラフルな食べられるスプーンは、国産野菜と国産小麦粉、無添加の自然素材で作られており、栄養たっぷりのカラフルなスプーンです。
子供の食事やおやつ、ゴミを増やしたくないキャンプやアウトドアでも活躍しそうです。
自分で食用スプーン製造できる機器も販売されていますので自分で作るのもありですね。
お弁当の仕切りパックとしてアルミホイルやプラスチック、紙を使ったカップが使われますが、食べられるうつわが登場しています!
海苔やかつお節、大豆、野菜などを原料にしたお弁当用の仕切りカップは、おかずと一緒に食べれば、お弁当のゴミがほとんど出ません。食材を使った器なので、お弁当の彩りも鮮やかになります。
最近は100円均一でも専用のグッズが売られていて自分でつくることもできます。
参照元:
・ECOPRESSO:https://www.10sense.co/ecopresso
・もぐカップ:https://mogcup.shop/
・Pacoon:https://pacoon.kinrosyoku.co.jp/
・木村アルミ箔株式会社(食べられるうつわシリーズ):http://www.kimura-alumi.co.jp/wp/
いかがでしたでしょうか?SDGsが採択されて5年以上経ち、ニュースやメディアで大きく取り上げられ脱プラスチックの動きは私たちの生活に浸透しています。
カトラリーから食器、お弁当のおかずを仕切るうつわまで食べられるようになり、ごみ削減への流れが広がっています。
みなさんもこの機会にマイカトラリーや食べられる食器など興味があるものを試してみて下さい。