先月から開始した【SDGsで注目!代替食品】シリーズ第5弾。
「お米」と言えば、日本を代表する国民食であり、私たちの食生活に深く根づいています。
そんなお米から作られる「米粉」は、団子や餅など和菓子に使用されるのが主流でしたが、最近ではパンや麺、ケーキなどの材料として、小麦粉の代替で使用されることも増えてきました。米粉は、日本の食料自給率を支えるというSDGsの観点からも、今とても注目されている食材です。今回は、昔から日本人に馴染みのある「米粉」に焦点を当て、その注目されている理由や選び方についてご紹介いたします。
米粉は、精米したお米を浸水して軟化させ、脱水した後に粉砕をして作ります。
米粉は、「うるち米(普段ご飯として食べるお米)」から作るか、「もち米(赤飯やおこわなどに使用されるお米)」から作るかで分類分けされます。
うるち米から作られる米粉としては、団子や餅を作るのに使用される「上新粉」、上新粉をさらに細かくした饅頭などに使用される「じょうよう粉」などが代表的です。
また、もち米から作られる米粉としては、白玉や大福などを作るときに用いられる「白玉粉」や、桜餅に使用される「道明寺粉」などが代表的です。
今、米粉が注目される理由を具体的に2つ。
パンや麺などの材料となる小麦には、「グルテニン」と「グリアジン」という2種類のたんぱく質が含まれています。小麦粉に水を加えてこねることで、その二つの成分が合わさり「グルテン」へと変化します。グルテンを含むことで、麺のもちっとした食感や、パンのふわっとした食感が生まれています。
しかし、このグルテンに対して
ことが分かり、グルテンフリー食品の市場が近年大きくなってきました。
そこで、小麦粉に代わるものとして注目され始めているのが米粉です。米にはグルテンが含まれていないため、米粉を使用することで誰もが安心して食べられる食品をつくることができるようになりました。
もともとグルテンはその粘り気や弾力から、人の消化酵素で分解しにくい成分であり、体質によっては、グルテン不耐症の方のように分解途中の物質が炎症を引き起こして消化吸収機能の障害をもたらすことがあります。
日頃からパンや麺類などをよく食べ、腹痛や倦怠感、頭痛などの症状にお悩みの方は、グルテン不耐症の可能性もあるため、1~2週間ほどグルテンフリーの食生活を送り、体調の変化をみてみましょう。
日本の食料自給率はとても低く、農作物や畜産物の多くを輸入に頼っている状態です。
そんな中で唯一自給率100%の作物がお米です。
それに比べ、小麦の自給率はなんと15%程度なのだそう。
ですが、米の生産量、消費量共に減少傾向にあることが問題にもなっています。
日本では、パンや麺、焼き菓子など、小麦粉を使用した食品がたくさんありますが、それらの原材料はほぼ輸入品ということになります。
現在では、世界情勢も不安定になってきているため、小麦だけではなく、さまざまな輸入品の価格が上昇傾向にあります。米粉が小麦粉の代わりを果たすことで、日本の食料供給の安定にもつながることがわかります。
パンや洋菓子などを作るには、出来上がりの舌触りも重要になってきます。
粗めの粉よりもキメ細やかな状態の粉を選ぶ事で、食感が良くなります。
お米の主成分は炭水化物の「デンプン」であり、デンプンは「アミロース」と「アミロペクチン」の2種類に分けることができます。
アミロースが多いほどパサパサとした粘り気のないお米となり、アミロペクチンが多いほど粘り気のあるモチモチとしたお米となります。パンやケーキなどに加工するには、形状を保つためにアミロース含有量が比較的高いものが適していると言われています。
現在よく薦められる品種には、「ミズホチカラ」「ほしのこ」「ゆめふわり」「こなだもん」などがあります。
今回は、日本の未来を救う?かもしれない「米粉」についてご紹介しました。
昔からあるお米には、豊富な品種と改良が重ねられてきた歴史もあり、日本の「食」を変えていくチカラがまだまだ隠されているように感じます。
小麦粉に代わって、米粉の時代が世界中に来ることもあるかもしれません。
その時に日本が誇れる輸出品となっていることを願いたいと思います。