4月と5月はSDGs(持続可能な開発目標)について、【SDGsで注目】代替食品をテーマにコラムを更新しています。
第1回「大豆ミート」、第2回「代替ミルク」と陸の動物に代わる持続可能な食品を紹介してきました。
しかし、地球の70%以上は海でできており、陸だけでなく海への配慮も欠かせません。SGDs17の目標のなかに「海の資源を守り、大切に使おう」という海に関するものも掲げられています。
アメリカの科学専門誌によると、人口増加や温暖化、乱獲などにより今から約30年後には食用魚がいなくなるともいわれており、水の資源を守ることが求められています。また、養殖場をつくることによる環境破壊の影響も問題視されています。
そこで、今回は持続可能な海を目指すための救世主「代替シーフード」を紹介いたします!
代替シーフードとは、魚介類の成分は一切使わず大豆やこんにゃくなど植物由来の原料を混ぜ合わせ、魚介類の形に成型し見た目も味も魚介類そっくりな加工食品です。
代替シーフードが普及することにより、乱獲や環境破壊を防ぎ海の資源を守ることができるというメリットがあります。
代替シーフードを選ぶメリットは3つ。
世界自然保護基金(WWF)とロンドン動物学会によると、1970年と比べて2015年の時点で海洋生物の数が50%以下に減っていると推計されています。
特に日本人がよく食べるマグロとサバはなんと30%以下に減ったといわれています。
しかし、世界の漁獲量はおおむね横ばいで、発展途上国では漁獲量が増えている傾向にあるため、このままでは急速に海の資源を失う恐れがあります。
海の資源である魚介類は、世界の人に供給される動物性タンパク質の約 17%を担っているともいわれているため、貴重なタンパク源を失うわけにはいきません。
そこで、味も見た目も本物の魚介類とそっくりに加工されている代替シーフードです。本物の魚介類を食べたときとほぼ同等の満足感を得ることができ、代替シーフードを食べることで海の資源を守ることができます。
海の資源を守るために養殖ものを選ぶこともできますが、養殖をするために海岸に生えている植物を伐採して養殖場をつくることがあります。植物を伐採するとその植物に住み着いていたカニや魚、貝類が家を失ってしまいます。
また、効率よく養殖するために病気を防ぐ薬をまぜたエサを与えることもあります。その餌を食べた生物が排泄するフンにも薬の成分が含まれているため、水質汚染につながり生き物が生息しにくい環境になってしまうのです。
もちろん養殖自体は悪いことではありませんが、生産性のみを重視するのではなく、環境に優しい養殖方法を行うことが大切です。
一方、代替シーフードは海の環境に関与せず生産することができるため、海の資源を守ることができます。
魚介類の成分は含まれていないため、魚介類のアレルギーを持つ方でも食べることができます。
なかには魚卵は使用していないが、魚のエキスなどを添加した使用している加工商品もあるため注意が必要ですが、魚介類の成分を一切使っていない代替シーフードであれば、安心して食べることができます。
アレルギーを持つ方もアレルギーでない方もみんなで一緒にお寿司屋さんに行く未来も遠くはないのではないでしょうか。
値段は一般的にスーパーマーケットで売られている本物の魚介類と比較し、安価なものが多く、なかには半額以下の商品もあります!
代替シーフードなら海の資源を守りつつ、本物に近い味をリーズナブルに楽しむことができます。
ここからは気になる代替シーフードの一部を紹介いたします!なかにはあの高級食材の代替シーフードも登場します!
大豆たんぱく質を主原料とし、大豆などの植物由来の油などで作られています。ほかには大豆だけでなくエンドウ豆やひよこ豆などをベースにした商品やこんにゃくをベースにした商品もあります。
魚に多く含まれているDHA、EPAの摂取量は減ってしまいますが、大豆油に多く含まれているαリノレン酸を摂取することができます。αリノレン酸はDHA、EPAと同じn-3系脂肪酸で血液をさらさらにする働きがあるといわれています。
原料はこんにゃく粉やトレハロースなどです。
海外ではなんとトマトを主原料にした商品もあります。マグロの赤色は着色料を使用しているものが多いようです。
主な原料は海藻と大豆由来のタンパク質です。
独自製法でエビ特有のプリッとした食感も再現されています。
本物のエビと比べ必須アミノ酸は同等に含まれていていますが、コレステロールや食塩は少ないという健康へのメリットもあります。
豆乳クリームをベースに作られています。
実は日本の企業が特許を持っている、世界初の大豆を「豆乳クリーム」と「低脂質豆乳」に分ける技術をもとに開発されました。
見た目だけでなくあのねっとりした舌触りも再現されています!
今回は代替シーフードのメリットや商品を紹介いたしました。
美しい海とその海で生活する動植物を守りながら、食事を楽しむことができるという環境にとっても人にとっても嬉しい加工食品です。
代替シーフードはここ数年で開発されたもので、業務用のみの商品や期間限定発売の商品が多くまだあまり身近ではありませんが、持続可能な海を守るためにも今後の動きに注目していきましょう!
参考/参照
・海洋生物の数「1970年以来、半減」 WWF報告 – BBCニュース
・世界の漁業の現状と資源状況について(PDF)
・世界の漁業・養殖業生産:水産庁 (maff.go.jp)