家庭で作る和食のコツ! 薬味 ~根菜編~

家庭で作る和食のコツ! 薬味 ~根菜編~

毎日の和食こそおいしくつくりたい!家庭で役立つ、ちょっとした和食調理のコツをシリーズでお伝えします!
第五弾は、「薬味 ~根菜編~」です。

薬味 ~根菜編~

薬味はうどんが始まり!?

薬味の歴史は、平安時代に遡ります。
平安時代前期に中国から唐菓子(米粉や小麦粉などに甘味料を加えてこね、果物の形をつくった後揚げた製菓)が導入されたときに、うどん祖型(小麦粉をこねて伸ばし、ひも状あるいは団子状に切ったもの)が導入され、その後、江戸時代初期になると、うどん祖型がうどんに発展、江戸町民に人気となります。
その際、うどんに薬味を使うようになったのが、和食における薬味の歴史の始まりといわれています。

うどん

薬味の役割と種類

和食で使われる薬味は、料理の彩りのほか、風味や香りを引き立て、食欲増進をそそります。材料を大きく分けると、

  1. 大根のような根部
  2. 葉や茎を使うしそやねぎ類
  3. ゆずやかぼすなどの柑橘類
  4. 香辛料

などがあります。

今回は、①の根部を使う食材を紹介します。
大根やわさび、生姜、玉葱、にんにくなどがあります。

大根をすりおろすと辛く、煮ると甘くなるのはなぜ?

大根はそのまま食べても辛くありませんが、すりおころすと辛くなるのは、大根の細胞が壊れ、大根の細胞の中に存在するミロシナーゼが活性化し、辛味成分であるアリルイソチオシアネートが生成するためです。
細胞が壊れるほどミロシナーゼが活性化するので、辛い大根をつくりたいときは、大根の繊維(細胞膜)を断ち切るようにおろすのがおすすめです。
一方、大根おろしは、加熱すると甘くなります。
これは、辛味成分のイソチオシアネート類が揮発性なので、加熱すると揮発し、もともと大根に含まれる糖質(ブドウ糖)の甘みを感じるためです。

大根をすりおろし

わさびの成分も大根と同じ!?

わさびは、アブラナ科わさび属の植物で、可食部は地下の根茎です。
根茎をすりおろしたものを「わさび」と呼んできます。
わさびの辛味と香りは、根茎をすりおろしたときに、酸素に触れたミロシナーゼの働きで、シニグリンというからし精油配糖体が分解され、アリルイソチオシアネート(大根と同じ辛味成分)が生成されるためです。
また、わさびの中で、シニグリンが存在する部位は、表皮と皮層の間といわれています。
そのため、わさびの皮を剥いてしまうと、辛味のあるわさびをすりおろすことができません。
わさびは先端部にしたがって辛くなりますが、先端部の方が表皮と皮層の割合が多いためです。

わさび

このように、大根やわさびに代表される薬味の根菜類は、「すりおろす」ことで辛味が増します。
また、すりおろした直後よりも、5分程度放置した方が、ミロシナーゼが活性する時間が長くなり、アリルイソチオシアネートが多く生成されるため、辛味を強く感じるといわれています。

 

薬味は和食独特の使い方で、料理のアクセントになります。
根菜類は、すりおろすポイントを押さえて使ってみてください♪

著者アイコン著者紹介

特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
全国各地で様々な対象者の方向けの講演会を行ったり、執筆活動を行うなど精力的に活躍する当協会の健康管理士、管理栄養士が担当しております。
それぞれ得意の分野を活かし、今知りたい「食や健康」をお届け!
毎月の食Doのテーマや、食Do執筆の裏側を公開する「裏食Do!」(アメブロ)Instagramなどもぜひお楽しみに!!
監修:日本成人病予防協会 会長 医学博士 片野 善夫          

       
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